町田市議会議員 会派「自由民主党」/(一社)落語協会 真打 三遊亭らん丈【公式ウェブサイト】

三遊亭 らん丈

俳句 記事一覧俳句

『都市』第67号・2019年2月

2019.02.14(木)

逝きし子も色なき風に吹かれけり
肩薄くなりたる母と秋刀魚食ぶ
鰯雲もう一度息深く吸ふ
実のある話とは何ぞ太閤忌
どんぐりの命を拒む固さかな
新しき傘差し兼ねる時雨かな

『都市』第66号・2018年12月

2018.12.01(土)

辞書をもて「放屁」引く子ら夏休み
秋暑し剃り残したる髭一本
蝉時雨お蔭さまにて難聴に
やや力入れ歯を磨く菊日和
三日月を見上げつ薄荷糖しやぶる

『都市』第65号・2018年10月

2018.10.01(月)

教室の机の上の白躑躅
白昼の蛇騒動を遠巻きに
人に遭ひ放す妻の手花火の夜
夏至の日の自転車をこぐどこまでも
ゆで卵塩多く付け夏来る

『都市』第64号・2018年8月

2018.08.01(水)

春の宵求めた辞書をなでさする
幼子の小さき手合はすイースター
霊柩車遠足のバス追ひ抜けり
水切りの石投げ分けて夏に入る
柔道着乾かぬうちの春驟雨

『都市』第63号・2018年6月

2018.06.01(金)

牛の声と船の汽笛と長閑なり
消防の訓練中や春一番
階段を一段飛ばし春に入る
雛飾り人の気配を感じをり
パソコンがつながるまでの花曇

『都市』第62号・2018年4月

2018.04.01(日)

冬めくや釣堀へ行く二人連れ
肩に舞ふ落葉や眼鏡くもらせて
冬に入る雨に大股歩きかな
決断を一日延ばし冬の暮
寒紅の唇閉ぢて襷掛け

『都市』第61号 「俳句と私」

2018.02.15(木)

自選五句

たんぽぽや終に子どもは授からず
寒星やメニューに見入る老夫婦
片想ひ独活の天ぷら噛みしめて
完璧な蟹股歩きやませ吹く
漱石忌卵落としてカリー食ぶ

「俳句と私」
 ressentimentというフランス語を、私は日本語として覚えました。

 このルサンチマンを、広辞苑(第二版補訂版)にあたると、「怨恨・憎悪・嫉妬などの感情が反復され内攻して心に積っている状態」と記されています。私が俳句を詠むのは、まさにルサンチマンによるのです。

 「怨恨・憎悪・嫉妬などの感情が反復され内攻して心に積って」くると、それらを吐露しないと苦しくなります。そんなとき、「こん畜生」とおもいながら俳句を詠むと、心が平らかになってくるのです。花鳥諷詠は、あらばこそ、です。

 心に積った憂さを晴らすために、俳句を詠む、これが「俳句と私」とのただならぬ関係です。

『都市』第61号・2018年2月

2018.02.01(木)

サイレンの入り交じりたる秋祭
秋澄んで腕の時計の新しく
理髪店往きも帰りも野菊愛で
新しきネクタイを締め文化祭
宵闇や売りし本また買ひ戻し

『都市』第59号・2017年10月

2017.10.01(日)

相撲取り仰ぎてゐたる柿の花
新茶汲む永の別れを胸に秘め
桑摘むや今年の雨に怯えつつ
ぼうたんの落ちて逃げるや子どもたち
紫蘇香るきれいに空いた耳の穴

『都市』第58号・2017年8月

2017.08.01(火)

桜見て少しく長く歯をみがく
まづなめて肌を味はふ柏餅
米研がず炊くもありなん花魁草
江ノ島の水族館へ袷着て
哲人の貌の乞食聖五月