町田市議会議員 会派「自由民主党」/(一社)落語協会 真打 三遊亭らん丈【公式ウェブサイト】

三遊亭 らん丈

らん読日記 記事一覧らん読日記

東海林さだお『超優良企業「さだお商事」』(東洋経済新報社)

2003.01.13(月)

 東海林さだおを知ったのは、ぼくが高校生の頃ですから、もう30年近くも前のことになります。以来ずっと、東海林さだおのファンであり続けています。特にそのエッセイには、魔力に魅入られるがごとくに、取り付かれているといってもいいでしょう。眼に触れる限りのエッセイは、その間ずっと読み続けています。そんな読者が数多くいるからこそ、文春文庫だけで東海林さだおの本が、2000年に累計500万部突破という偉業を成し遂げることができたのです。書いてしまうと、500万部、たったこれだけの文字ですが、一冊の文庫本の厚さが1センチメートルとして、それを積み重ねると、なんと50キロメートルもの厚さになるのですよ。50キロといえば、町田から都心までの距離に匹敵するのですから、これを偉業と言わずして、なにを偉業と言えば好いのでしょうか。

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高島俊男『お言葉ですが…3 明治タレント教授』(文春文庫)

2003.01.10(金)

 日本から正月らしさがどんどん消えていきますが、皆さんは、2003年のお正月をどんなぐあいにお過ごしになられましたでしょうか。

 元日は初詣に行って、2日3日は朝から箱根駅伝を見て、その後は寄席中継を見ながら、あとはごろごろと寝正月、なんていう古きよき正月風景が、日本から駆逐されようとしています。テレビの寄席中継は減少の一途を辿り、ついに民放はすべて撤退し、NHK一局限りとなってしまいましたし、西武百貨店はついにというか、とうとうというべきか、元日から営業を始めました。今までの経過からして、遅かれ早かれ他店も、元日から営業を始めることになるでしょう。また、海外で過ごす観光客が増え、国際線の利用客は前年比11.8パーセント増の49万7600人と大きく伸び、米国同時多発テロ事件前の水準にほぼ戻りました。このように、正月の日本からの人口流出はとどまるところを知りません。こうなればいっそのこと、正月もオリンピック並みに4年に1回の割合にすれば、少しはありがたみが増そうというものです。そうすれば、お年玉も4年に1回となり、渡すほうとしては、大助かりとなるのですが。

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鈴木輝一郎『何がなんでも作家になりたい!』(河出書房新社)

2002.11.28(木)

 この作家をご存知の方は、かなりの小説好きでしょう。知らなかったら、これを機会に覚えておいても損はない、手練れの作家です。1994年には推理作家協会賞を受賞しており、1960年生まれですから、ぼくとは一歳違いで、年齢は40台前半と、今を盛りの作家です。
 いまや作家にとって、顔かたちの出来具合が売り上げにかなり、影響するご時世です。この傾向は、石原慎太郎のデビューによってもたらされ、五木寛之の登場によってそれは決定的なものとなり、いまや、美人の代名詞といってもいい中山美穂と結婚する作家まで出てきたのですから、作風よりもカッコウばかり優先されるのも致し方のないところでしょう。
 そこへいくと、著者の鈴木は、作品一本勝負です。これだけ言っても、どうしてもその顔を知りたいという方は、『新刊ニュース』11月号の33ページをごらんなさい。そこに、本書40ページに書いてあるように、「インド系の暑苦しい顔」をした著者を見つけることができますから。

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なだいなだ『神、この人間的なもの』−宗教をめぐる精神科医の対話−(岩波新書、2002年)

2002.10.15(火)

 学者ならばともかく、一般人の読書は、きょうび、文庫と新書で相当程度は、間に合うようになりました(その証拠にこの「らん読日記」や「らん丈の精神の骨格をかたち作った書物」はそのどちらかで大半を占めます)。
 というよりも、文庫と新書を読んだうえで、それにくわえて専門書を読めるほどの時間に恵まれた方は、そうはたくさんいないでしょう。特に、ぼくのように読む速度の遅い者は、そんなことをしていた日には、読書以外になにも出来なくなってしまいます。それこそ、その生涯を読書に捧げるようなもので、それはそれで結構なことですが、ぼくには無理です。

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村上春樹『神の子どもたちはみな踊る』(新潮文庫)

2002.09.25(水)

 「らん読日記」2度目の登場となった、村上春樹です。
 村上の著書は単行本での刊行後、2年を経ればよほどのこと、たとえば単行本を刊行した出版社に自前の文庫がないといった事情、がない限り文庫化されます。文庫にはほとんどのばあい解説がつくという日本特有の出版事情があるのにもかかわらず、面白いことに、村上の文庫本は出版社を問わず例外なく解説がありません。文庫本を30冊近く出しているほどの人気作家でありながら、そのうち一冊の例外もなく解説がつかない作家は、村上をおいて他にいません。

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佐和隆光『市場主義の終焉−日本経済をどうするのか−』(岩波新書)

2002.09.17(火)

 著者の佐和隆光は、計量経済学、環境経済学を専門としている京都大学経済研究所教授であり、日本で最も著名な経済学者の一人です。それが証拠に本書も江湖に広く迎えられ、2000年10月に刊行された後、版を重ねてすでに現在9刷を数えています。

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村上春樹『辺境・近境』(新潮文庫)

2002.08.29(木)

 今回新たに、その時々にぼくが読んだ本の感想を気ままに綴るらん丈の読書日記、略して「らん読日記」のコーナーを設けました。
 ぼくは芸人にもかかわらず、情けないことに趣味らしい趣味を持っていないのです。献血が好きで、毎月一度は血液や血小板、血漿を採っていただいておりますが、献血は趣味とはいえないでしょう。では見方を変えて、なにをしているときが楽しいのかと問われれば、映画を観たり、あるいは、JAZZを聴きながらコーヒーを飲みつつ本を読んでいるときが、無上の時の過ごしかた、と答えます。たとえば、登山や釣りが趣味というのならばすぐに納得できますが、映画や読書を楽しむのはどなたでもなさることで、はたして趣味の範疇に入るのか、きわめて怪しいのですが、上述のように、本を読んでいるときが、ぼくに至上ともいえる幸せなときをもたらしてくれるので、この際、ぼくの趣味は「読書」とさせていただき、思いつくままに読んだ本の感想をその時々に、徒然なるままつづってみようというのが、このささやかなコーナーを設けた理由らしきものです。それでは、始まり、始まりー。

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小室直樹『経済学をめぐる巨匠たち』(ダイヤモンド社)

2019.05.21(火)

 いまや受験シーズンはたけなわを迎え、受験生にとっては新年度に向けて、新たな進路が着々とその相貌を顕わに見せつつあります。

 らん丈にとってもそれは同じことで、学修環境が劇的といえるほどに変化します。
 2005年度は文京学院大学生涯学習センターの講師(詳細は「らん丈後援会会報」第24号参照)、立教大学社会学部と東京農工大学農学部のゲストスピーカーを勤めるほかに、3度目の学生生活を早稲田大学で送ることが、決まりました。

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