町田市議会議員 会派「自由民主党」/(一社)落語協会 真打 三遊亭らん丈【公式ウェブサイト】

三遊亭 らん丈

らん丈の、我ら落語家群像 記事一覧らん丈の、我ら落語家群像

「民族芸能」vol.108

2004.03.01(月)

 久しい間、芸人に仕事を頼む手段は、ほとんど電話に頼っていました。
 それが近年、ホームページで情報を獲得した依頼人が電子メールで出演の可否を尋ねてくるようになったのです。

 これなどは、「IT」の最たる例ですし、実際、この原稿にしろ、メールで送信します。

 先日、NHKから出演依頼がありましたが、これもぼくのことをHPで調べて興味を持ったから、ということでした。

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「民族芸能」vol.107

2004.02.01(日)

 村上龍の『十三歳のハローワーク』という本が、爆発的に売れているそうです。五百十四種類におよぶ職業を紹介したこの本の定価は、なんと二千七百三十円という高価なものでありながら、それが文字通り、飛ぶように売れているというのですから、今さらながら、作者の村上龍と、出版元の幻冬舎の本つくりのうまさには、恐れ入ってしまいます。

 このように、世の中には、実にさまざまな職種がありますが、さて、落語家です。それを特徴付ける要素は色々とありますが、欠かせないものに、「軽さ」があるといって好いでしょう。

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「民族芸能」vol.106

2004.01.01(木)

 落語家になって、さまざまな芸人を、楽屋という芸人のある種素顔に近い面を見せるところで見て驚いたことのひとつに、高座からは決して想像できない、(人様に楽しんでいただくのが仕事なのですから、当然のことではありますが、それにしても)屈託を抱えた人がいかに多いかということでした。

 もちろん高座そのままに、普段でも陽気な芸人がいないとは言いませんが、それは、数としてはむしろ少なかったのでした。

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「民族芸能」vol.105

2003.12.01(月)

 「学校はチャンスを平等に与えようとするけど、ここは学校じゃない。できるヤツに仕事は集中するんだ」

 これは、あるビジネスマンの言葉ですが、ごく当たり前のことを口にしたに過ぎません。

 たとえば、あなたがプロ野球チームの監督ならば、非力な打者をどうしてバッターボックスに送るでしょうか。それどころか、見込みがなければ、退団を勧めるでしょう。その方が、本人のためなのですから。
 それに比して、学生野球の監督ならば、四年生の秋のリーグ戦では、それまで一度も打席に立たなかった野手を、温情で代打に送り出すこともあるでしょう。

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「民族芸能」vol.104

2003.11.01(土)

 さる一月二四日に内閣府が「文化に関する世論調査」の調査結果を発表しました。

 そこで文化庁が指摘しているのは、「趣味や娯楽が多様化する一方で、伝統芸能に関心が向かなくなっている」という、我々伝統芸能の実践者には、アンハッピーな報告まで添えて。

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「民族芸能」vol.103

2003.10.01(水)

 遅ればせながら、明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願い致します。小稿においても、もう何度も触れてきたので今更ながらとは思いますが、今号は一月発行なので、落語家にとっては特別な意味を持つ、元日に始まる初席での出来事を記します。

 それは、今年の初席二日目、つまり一月二日でのことでした。
 始めに申し上げますが、ふだんでも着物で通している噺家はいまやごく稀にしかいないことをまずはご承知置き下さい。それでも正月はさすがに別で、元日はもちろんのこと、三箇日は先ず大抵の噺家が、その勢いで中日(五日目)ぐらいまでは多くの噺家が、着物で外出します。

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「民族芸能」vol.102

2003.09.01(月)

 今日の日本には、自衛隊のイラクへの派遣を始めとして問題が山積していますが、なかでも景気の低迷は深刻の度を増しています。

 落語界では古くから不景気になると手近な娯楽ということで、寄席が流行るといわれていましたが、実際にこのように不景気になっても、「手近な娯楽」が往時に比べて飛躍的に増えた結果でしょうか、どうもそうではないらしいということが分かってしまいました。

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「民族芸能」vol.101

2003.08.01(金)

 今月十一月は、よその国のことは存じませんが、日本に限れば、一年中で最も結婚式の多い月だそうです。

 なるほど、暑からず寒からず、国民の祝日も二日ありますから、休日にも恵まれ、結婚式が多いのも納得できます。

 そして、いまや結婚式だけで披露宴は開かないというのは、稀なカップルでしょう。

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「民族芸能」vol.100

2003.07.01(火)

 面白い本を読みました。

 上方落語界の重鎮、桂米朝師匠と、「本質的に人を笑わせたいという欲求がある」作家、筒井康隆との、あわせて九時間にもおよぶ対談をまとめた、その名も『対談笑いの世界』(朝日新聞社)がそれです。

 筒井康隆といえば、ぼくらの世代で笑いとSFに興味を持ったものにとっては、神格化された存在ですし、米朝師匠に至っては、もはや芸界の生き字引といってもいいでしょう。

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「民族芸能」vol.99

2003.06.01(日)

 どの全国紙にも、前日の首相の動静をしるす欄があります。朝日新聞ならばその名も端的に「首相動静」、読売新聞は「首相の一日」となっている、政治欄にあるベタ記事です。ぼくはその欄を眺めるのを日課としていますが、そこに、それぞれの首相の知られざる日常が垣間見えることがあり、決して飽きるということがありません。

 たとえば、村山富一さんは社会党(当時)の委員長らしく、散髪は議員会館で済ませていましたし、橋本龍太郎さんはもっぱらホテルニューオータニの理髪店を利用していました。また同氏の読書欲たるや並外れ、赤坂の書店に三日に上げず通っていました。森喜朗さんはほとんど夕食は外食、というよりも、料亭でした。

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