町田市議会議員 会派「自由民主党」/(一社)落語協会 真打 三遊亭らん丈【公式ウェブサイト】

三遊亭 らん丈

「民族芸能」vol.99らん丈の、我ら落語家群像

2003.06.01(日)

 どの全国紙にも、前日の首相の動静をしるす欄があります。朝日新聞ならばその名も端的に「首相動静」、読売新聞は「首相の一日」となっている、政治欄にあるベタ記事です。ぼくはその欄を眺めるのを日課としていますが、そこに、それぞれの首相の知られざる日常が垣間見えることがあり、決して飽きるということがありません。

 たとえば、村山富一さんは社会党(当時)の委員長らしく、散髪は議員会館で済ませていましたし、橋本龍太郎さんはもっぱらホテルニューオータニの理髪店を利用していました。また同氏の読書欲たるや並外れ、赤坂の書店に三日に上げず通っていました。森喜朗さんはほとんど夕食は外食、というよりも、料亭でした。

 小泉純一郎さんは、散髪を必ずキャピトル東急の「村儀理容室」で済まし、夕餉は出身派閥の清和会の事務所がある赤坂プリンスホテル内「ポトマック」を贔屓にしています。

 お亡くなりになった小渕恵三さんは、観劇が大変にお好きでしたが、それに劣らずよく観劇、あるいはコンサートに足を運ぶのが、このたび自民党総裁に他の候補者を圧して再選された小泉首相です。

 日本が生んだ世界的な名指揮者のおひとりである、岩城宏之さんが、“小泉さんは自分の観劇趣味を、世界中に堂々と表明する初めての日本の首相として、非常に重要な存在だ。”と時評に書いていましたが、首相が寄席通いをしてくれたら、落語への関心が、いや増さること請け合いです。ただ、毎日来てもらったら、それはそれで、一国民としては心配の種が増えてしまいますが。

 先日、円丈一門が芝居の総見としゃれこみました。といっても、その芝居とはミュージカル「レ・ミゼラブル」です。

 テナルディエ役で弟弟子の亜郎が出演しているからです。このテナルディエ役は、なかなかおいしくまた、重要な役どころでして、その妻を森公美子さんが演じていますが、その役名がテナルディエの妻というだけで、固有名詞が冠せられていないことからも、いかに重要な役かという、その一端がお分かりいただけるかと思います。

 その昔、三越とともに、この「レ・ミゼラブル」が上演されている帝国劇場は、唄にも歌われたように帝都民にとっては、晴れの場所でした。その客席ではなく、舞台に落語家が立って、高嶋政宏さんや別所哲也さんと伍しているのを目の当たりにすると、今更ながら落語界の人材の多彩さに感じ入ったのでした。日本にミュージカルが根付かないと言われたのは、すでに過去のことです。こんな楽しいものを見ない首相のいる国の住人には、なりたくはないと思ったのでした。

 首相よ、抵抗勢力の批難に耳をかすことなく、せっせと寄席や劇場に通ってください。