町田市議会議員 会派「自由民主党」/(一社)落語協会 真打 三遊亭らん丈【公式ウェブサイト】

三遊亭 らん丈

俳句 記事一覧俳句

『都市』第41号・2014年10月

2014.10.01(水)

若竹のしなり何度も確かめり
新茶飲み再び見上ぐ飛行船
白シャツや一心不乱に勉強す
丈合はぬ浴衣似合ふはインド人
駆け込めり夏の真昼の映画館

『都市』第40号・2014年8月

2014.08.01(金)

たんぽぽや終に子どもは授からず
虚子忌とは知らで男の子ら踊りをり
柳絮飛ぶ懐中時計とは無縁
蕎麦つゆを余さず飲んで夏来る
まづ見てくれと通さるる初節句

『都市』第39号・2014年6月

2014.06.01(日)

霜焼の手をこすりつつ打つメール
車から見つけし梅や開けて見る
春の朝モーツァルト聞き投票す
街宣車エールを交はし山笑ふ
師が居ることの幸せ小鳥帰る

『都市』第38号・2014年4月

2014.04.01(火)

凩や手に大冊の重たき日
五十路なる歯間の葱の取れぬ日の
秒針の音が気になる雪催
焼鳥を妻と分け合ふ九本目
短日や本の整理は終はりなく

『季刊芙蓉』第98号・2013年冬

2013.12.01(日)

梅雨晴間猫は欠伸を思ひ切り
向日葵は六等身を恥じりをり
蜥蜴にも「さん」とつけやる園児かな
サングラス遺品整理の手の止まる(★)
飛魚のげに楽しげに飛びにけり
記念撮影流星を待ち並びをり(★)
包丁の切り口見事秋茄子
献血の空いた手に持つ鬼胡桃

『季刊芙蓉』第97号・2013年秋

2013.10.01(火)

椅子固き大教室や春愁(★)
去年になき春の夕べとなりにけり(★)
小満や和服の似合ふ異国人
紫陽花に魅せられ落とす文庫本
憎つくき白髪探しては抜く梅雨籠
若いのに扇子が似合ふ准教授
蝿叩き売る店がある大通り
検診結果未だ開かず梅雨曇

『季刊芙蓉』第96号・2013年夏

2013.07.01(月)

それぞれの春それぞれに生きてゐる
スカイツリー見上げ口開く相撲取
心持ち大きく記す「春」の文字(★)
醜男の恋人でも楽しい花見
真つ更の教科書撫でる新入生
初蝶がふはとボランティアの肩に
卒業式胸のコサージュふるはせて(★)
春疾風ふと人生を振り返る

『季刊芙蓉』第95号・2013年春

2013.04.01(月)

温め酒宴の果てはみな胡座
老夫婦ビードロで汲む温め酒
新走り誰も饒舌同窓会
腰痛を友としてこの年を越す(★)
人生の胸突き八丁温め酒
思はず声出して応援早明ラグビー
悲喜こもごもまた巡り来る年用意
敵討つやうに踏みしめ霜柱

『季刊芙蓉』第94号・2012年冬

2012.12.01(土)

関取に似る美女がゐる夏芝居(★)
梅干しを頬張つてさて延長戦
妻と手をつなぎ秋立つ今朝の道(★)
喪帰りの冷麦すすり皆無口
赤き灯のことに揺れをり盆踊り
長き夜や動悸してふと死を思ふ
秋暑し煎餅かじりまたかじる
弁当は妻の手作り秋うらら

『季刊芙蓉』第93号・2012年秋

2012.10.01(月)

犬だつて笑顔で走る桜道(★)
筍飯いつしか父に似る仕種
蓋の海苔まづはこそげて頬張りぬ
ぬひぐるみを中に川の字春の宵
須臾日々の地獄忘るる花吹雪
青嵐衝いて古本売りに行く
入梅や辞書引きてゐて語を忘る(★)
午後からの会議の行方かたつむり