町田市議会議員 会派「自由民主党」/(一社)落語協会 真打 三遊亭らん丈【公式ウェブサイト】

三遊亭 らん丈

俳句 記事一覧俳句

『季刊芙蓉』第42号・1999年冬

1999.12.01(水)

いつ掛ける頭の上のサングラス
大夕立体に張り付く白いシャツ
その脚の長さに見惚れ梅雨明くる
EVIANのペットボトルに汗涼し
光りもの食べられぬ子の七五三(しめ)祝
黝々と幽霊船とも花火舟
理髪店貰ひあくびや秋の昼
わが子出づ泡立草の間から
柿だけは自分でむいて食べる父(★)

『季刊芙蓉』第41号・1999年秋

1999.10.01(金)

子供の日塀にボールをぶつけては
求婚とも思えぬ声や雄蛙

骨折三句

1999.10.01(金)

骨折ってぶらぶらの脚先に水馬(★)
ギプス取れ風通り抜く薄暑かな
譲られて坐られぬ席薄暑かな
アイスクリーム頬張って左見右見
父の日や話題に上る墓探し

『季刊芙蓉』第40号・1999年夏

1999.07.01(木)

新しき暦丸まる年の暮
ぶかぶかの形見の時計鳥雲に(★)
投げやりに餌撒く男冬かもめ
取的の傘をはみ出す肩に雪
雪溶けて木が一本や雪女郎
眠る娘に肩を差し出す春の電車
老い父とアイスコーヒー春の午後
海苔食う人をじっと見ている外国人
春霖に毛ほどの嘘をあばく妻

『季刊芙蓉』第39号・1999年春

1999.04.01(木)

椎茸の匂いいつの間に好きになりし
初恋をバトンに託し運動会(★)
亡きちち義父の枕頭で聴く月鈴子
木の実突く鳥の嘴ミシンかな
フラッシュに目をつぶってる七五三
枯枝を咥えて走る老犬よ
青空にくねり大根干す軒端
どの木にも残り柿あり上州路
足踏みしつつ待つ年末の宝くじ

『季刊芙蓉』第38号・1998年冬

1998.12.01(火)

手を引かれピョンと飛び越す茅の輪かな
待ちかねた白南風頼む干布団
とくとう禿頭と西瓜どうしても叩きたい
休暇明け寝癖のままに登校す
夏休み石鹸乾ぶ水飲み場(★)
蝉時雨耳があるのかお前たち
そぞろ寒帰路急ぐ子の影長し
赤とんぼ怖がる手から逃げおお果す
釣堀で会うそのひと女の声知らず

『季刊芙蓉』第37号・1998年秋

1998.10.01(木)

眠る妻の瞼にベーゼ春の朝
母の日に見るそのしわはぼくのせい
汝と我鼻赤くして夏の酒
背中に目欲し球場のビール売り
噴水やアキレス腱を伸ばす人
噴水をいつまでも見る老女かな
手のしみを隠す仕種や竹落葉(★)

『季刊芙蓉』第36号・1998年夏

1998.07.01(水)

他所びとにうるさいだけや秋祭
片付けを大儀そうにし秋祭
朝刊来てチラシずつしり師走かな
お賽銭投げて届かず初詣
腕のない手があり見れば手袋
冬の朝結露がありてガラス泣く
冬の朝布団の温み悪魔かな(★)
花にただ一瞥をくれあとは酒
心中物反りし首締む雪の中