町田市議会議員 会派「自由民主党」/(一社)落語協会 真打 三遊亭らん丈【公式ウェブサイト】

三遊亭 らん丈

「ようこそ先輩!」『町高だより』2012年2月29日号町田の、らん丈

2012.01.15(日)

 らん丈は、都立町田高等学校全日制普通科において、1974年(昭和49年)から1977年(昭和52年)まで学ぶ機会をいただきました。
 同校PTA広報『町高だより』157号での「ようこそ先輩!」欄に、寄稿をさせていただく機会を頂戴いたしましたので、ここに、その原稿を転載いたします。

「町高生の皆様へ」
 わたしは、町高の卒業生ではおそらく初めての落語家ということで、今回『ようこそ先輩』欄に寄稿をさせていただくことになりました、三遊亭らん丈と申します。

 ただし今回は、落語家というよりは、町高の一先輩として、町高時代のことを記しますので、落語にはふれません。もしも、わたしの落語にご興味をお持ちになった方がいらっしゃいましたら、原町田にある町田市民フォーラムで年に2回「ふるさと町田寄席」を開いておりますので、そちらをごらんいただければ幸いです。

1、1974年に町高入学
 わたしは今年(2012年)53歳になりますから、高校生の皆様からみると、多くの場合、ご両親よりも年上に当たるのではないでしょうか。そんなわたしは、いまから38年前に町高に入学を許され、1974年から77年までの3年間にわたって、じつに多くのことを学ばせていただきました。

 とはいうものの、かほどに以前のことですから、町高での諸々の出来事を、逐一覚えているのかと問われれば、よほど印象に残っていないかぎり多くのことは、申し訳のないことですが忘れてしまいました。

 それでも、今でも鮮明に覚えていることがいくつかあります。
 たとえば、町高名物の合唱際での度重なる練習と本番前の緊張、そしてステージでうたった際の晴れがましさ、夏休み直前の暑いさなかに行われた体育祭、登校すると毎日のように通った図書室で出会った数々の本、自ら計画しそれを実行したグループでの京都への修学旅行、人生の一大事ともいえる大学受験等いずれも鮮烈な思い出として今も胸中深くしまいこまれています。

 その中でも一際強く印象に残っているのは、町高で受けた数々の授業です。必修のため、休むことすらできなかった柔道の授業、赤点すれすれだった物理の授業、3年生になって格段に増えた選択授業で受講した古典や世界史の授業。

2、名物教師の佇まい
 授業が印象に残っているとは、いったいに授業の何が印象に残っているのでしょうか。

 それは、いずれもそれぞれの先生方がお持ちになっていた佇まいです。教科書に記してあったことのほとんどは、忘れてしまいましたが、名物教師といわれた先生方がもたらす佇まいは、忘れることができません。

 たとえば、国語の笠松草一郎先生、英語の熊谷先生、数学の奥山先生、日本史の、その後、駒澤大学経済学部教授となられた瀬戸岡紘先生。

 いずれの先生方も、見事に佇まいがありました。このような先生方が、当時の町高にはいらっしゃったのですし、当然のことながら、現在の町高にも多くいらっしゃることでしょう。

 そして、数々の授業とともに印象に残っていることは、町高の3年の間、勉強以外にいそしんだ読書です。それが、その後のわたしの人生を決めたような気がします。

 それは、「何の役に立つのかよくわからないような、しかし文字通りその人の脳と心を深く耕して、生涯にわたる精神態度の土壌を形づくるような」(磯部力(國學院大學法科大学院)教授)読書体験でした。

 さはさりながら、町高の皆様に読書を勧めるつもりは毛頭ございません。わたしの場合はたまたま読書だったというだけで、人によって興味関心の的はそれぞれ異なるからです。

 ある方にとっては、それがスポーツなのかもしれませんし、あるいは、クラブ活動なのかもしれません。それは、その方が、選択なさればよろしいことで、なにもわたしごときがとやかくいう筋合いではございません。

3、学校の醍醐味
 わたしが町高の皆様方に申し上げたいのは、先述のような佇まいのある先生方と出会われるのが、学校の醍醐味だということです。

 そんな出会いを求めて、わたしは、じつは53歳のいまでも学校で学んでいるのです。立教、早稲田に続く3校目の大学として現在は、一橋大学の大学院で学んでいます。

 ただ、わたしにとって残念なのは、有業の身なので仕事を優先させるため、一日24時間のうち、大学の勉強に割くことができる時間はわずかしかないことです。

 それにくらべると皆様方は、プロパーの生徒なのですから、使おうと思えば一日24時間まるまる勉学に割くことができるのです。これは、じつに羨ましいことです。

 いまや人生80年といわれていますが、80年の人生のうち、一日24時間まるまる勉学にさける時間をとることができるのは、じつはさほど長く用意されているわけではないのです。

 くれぐれも後悔をなさらないように、町高での3年をお過ごしくださいますように。もしもわたしにご興味をお持ちになられましたら、拙HPをごらんいただければ多くの情報が載っております。【URL】www.ranjo.jp