町田市議会議員 会派「自由民主党」/(一社)落語協会 真打 三遊亭らん丈【公式ウェブサイト】

三遊亭 らん丈

「民族芸能」vol.118らん丈の、我ら落語家群像

2005.01.01(土)

 ぼくは未だかつて株には一切手を出したことはありませんし、蕪ならば兎も角、株にはなんの興味も関心もありませんが、各種の統計データから証券市場を分析することをクオンツということは、知っています。

 そのアナリストとして吉野貴晶さんの評価が高まっており、『サザエさんと株価の関係』(新潮新書)という好著もあります。

 それによると、テレビ番組『サザエさん』の視聴率が下がると、株価が上がる、犬のニュースが増えると株価が上がる、年末の宝くじの売れ行きがよいと、その後、株価が下がる、といった具合に、一見株価とはなんの関係もなさそうな指標が株価と相関関係を持つ、という指摘はなかなか面白いものがあります。

 もちろん、それには理由がありまして、たとえば『サザエさん』という番組は、幅広い年齢層の方々が夕食を食べながら見ているテレビ番組の代表として捉えると、その番組の視聴率が良いということは、日曜日の夕方の在宅率が高いのですから、景気はあまり良いとはいえない、という結論が導き出されます。

 したがって、視聴率が良いときは株価が低迷し、その逆に視聴率が悪いときには、株価が上がる、というのです。

 これと同じように、株の世界では、「まだはもう、もうはまだ」という言葉もあると聞きます。

 つまり、株価がまだまだ上がると思っていると、もう下がり始め、もう上がらないだろうと思っていると、まだまだ上がる、といった具合に。

 このように、潮目というものは実に読みにくいものです。

 これは、出処進退にも当てはまりそうです。

 この連載にしたところで、平成七年四月から始めたのですから、もう、十一年も連載したのです。その間ぼくは、真打昇進、交通事故による入退院、二度にわたる大学入学、そして、三月より町田市議会議員という公職にも就いたことですし、そろそろお暇を頂戴すべきときなのかもしれません。

 思えば、ぼくが噺家になって二六年経ちますが、その二六年のうちの十一年という実に四割以上の時間をこの連載とともに過ごしてまいりましたので、連載を終えるというのは誠に残念ではございますが、しかし、始めがあれば、必ず終わりがあるのは、世の習いです。

 いままで、この連載をお許しくださった親子二代にわたる茨木さんを始め、実に多くの方々にお世話になりました。そのことを先ず謝すとともに、駄文にもかかわらず、辛抱を重ねお付き合いをいただいた方々にも、この場をお借りして衷心より御礼を申し上げます。

 ただ、噺家はもちろん続けますので、今後とも末永くお付き合い下さいますように、心からお願い申し上げ、一旦筆を擱かせて頂きます。