町田市議会議員 会派「自由民主党」/(一社)落語協会 真打 三遊亭らん丈【公式ウェブサイト】

三遊亭 らん丈

「民族芸能」vol.89らん丈の、我ら落語家群像

2002.08.01(木)

 北半球にいる限り冬寒く、夏暑いのはごく当たり前のことです。それにつけても、八月半ばの東京の暑さは殺人的です。この暑さじゃ、人だって死にます。だから、十九世紀最後の年、一九〇〇年八月十一日に三遊亭圓朝師匠は冥界へとさらわれてしまったのでしょう。そう、落語界中興の祖、圓朝師匠でも亡くなるのが不思議でないほど、今年の八月十一日も暑かった。特に、圓朝師匠の菩提寺全生庵は暑かった。

 二十一世紀に入り、装いを改めた圓朝忌が「圓朝まつり」として見事にバージョンアップしたのです。圓朝師匠のお導きにより、落語家とお客さまが全生庵の境内を交歓の場としたのが、今年始まった「圓朝まつり」だったのです。

 午前十時の開場時にはすでにお客様が列をなし、怒涛のごとく境内へとなだれ込んで来るではありませんか。果たして、一日でどれほどの入場者がいたのでしょう。ざっと見渡し、延べ三千人はくだらなかったのではないでしょうか。関東近県はもちろんのこと、遠く九州からはるばる駆けつけたお客様がいらっしゃったのには、驚きました。よくぞ、おいでくださった。
 では、どこが今までの圓朝忌とは変わったのでしょうか。

 まず、法要のための落語〈奉納落語〉を、お客様のための〈奉納落語会〉へと模様替えをしたのです。落語協会会長圓歌師匠を始め、当代の人気実力供に兼ね備えた理事を中心とした顔付けだったため、三回各回ともに前売り券が四時間で完売という売れ行き。

 くわえて、この一年間に亡くなった、柳家小さん、古今亭志ん朝、橘家文蔵、鏡味仙之助師匠らの物故協会員のパネル展。

 そして、なんといっても「圓朝まつり」の目玉は芸人が出店した三十近いそれぞれの屋台です。これぞまさにお祭そのもの。カーニバルのような喧騒とともに全生庵で終日、芸人はお客様と浮かれ、さんざめきつつおのれの芸人魂を発露させたのでした。

 それが、落語ファンには何よりのご褒美だったのでしょう。気に入ると、何度も同じ屋台に顔を見せるお客様のなんと多かったこと。

 いまのお客様というのは、咄家の芸をただ客席で一方的に楽しむだけでは我慢がならず、その芸人の素の顔も見てみたい。出来うるならば、気に入った芸人とお友達になりたい、という欲求がとても強いように見受けられます。ですから、落語会がはねた後の打ち上げに、お客様がぞろぞろついてきて、気がつくと落語会よりも打ち上げのほうが、人数が多かったというウソのような話もあるぐらい。これはいささか極端な例ですが、高座と客席にある境をほぼ取り払ったのが今年から始まった「圓朝まつり」です。どうぞ、来年の御来場も心からお待ち申し上げております。