町田市議会議員 会派「自由民主党」/(一社)落語協会 真打 三遊亭らん丈【公式ウェブサイト】

三遊亭 らん丈

「民族芸能」vol.75らん丈の、我ら落語家群像

2001.06.01(金)

 落語協会は毎月、池袋演芸場下席最終火曜日の夜席に「二ツ目勉強会」と銘打ち、各回五名の二ツ目が芸を競い合う落語会を、すでに百回以上にわたって開いています。すでに定着した落語会なので、何度か見たことがあるという読者の方もいらっしゃることでしょう。その方はご存知のように、後ろの席には落語協会幹部の師匠方が陣取り、出演者の芸に目を光らせ、終演後、ありがたいことにその師匠方から、芸の批評を頂戴できるのです。誉められれば天にも昇る思いを味わえ、自信がつきますし、拙いところを指摘されれば、そこを改め、ゆくゆくはその芸で一家をなすことができるかも知れないのですから、向上心あふれる二ツ目にとっては、ありがたい勉強会なのです。因みに今月は二十六日です。

 ぼくも二ツ目時分には何度か出させていただきました。あるとき、無事反省会が終わり、リラックスした雰囲気が漂うのを待っていたかのように、肝煎り役の古今亭志ん朝師匠が、「年はとりたくないねぇ」と始めたのです。何事ならんと後を伺うと、「いやね、こないだテレホンカードで電話を掛けようとしたら、うまくカードが入ってくれないんだよ。おかしいなぁと思ってそのカードをよく見たら、これが地下鉄のカードなんだ。これじゃあ入るわけないよ」とおっしゃるのです。

 たしかにわれわれは、日によって仕事先が異なるので、定期券はほとんど買いませんが、JRのイオカードのように、切符を買う手間の省ける簡便なカードは携行している者が結構います。かく云うぼくもイオカードは重宝しています。ところが、これで思わぬ損をすることがありまして、先夜私鉄のある駅で急行の上り最終列車を待っていたときのことでした。胸のポケットに入れていた新宿行きの切符と新宿から最寄の錦糸町駅まで使うイオカードとが入っていることを確認しようと、そのポケットに指を入れ、指に切符を挟んでポケットから抜いたその刹那、なんの弾みか一緒にイオカードまでが出てしまい、風に乗ってレール上へとひらひら蝶のように舞い落ちるではありませんか。電車はもう、すぐ手前まで来ており、とても線路に下りるわけにはいきません。といって、この電車をやり過ごして次の電車に乗れば、もう急行はないので、各駅停車で約一時間もかけて新宿まで行かなければならず、それはちょいと荷です。

 やむなくイオカードは放って置いて最終の急行へと乗り込んだのですが、そういえばあのイオカードは五千円のもので、まだ残額が四千円以上も残っていたのにと、車中残念で仕方がありませんでした。まったくどこでどう損をするか、わかったもんじゃあありません。ですから、線路を掃除すると吸殻ばかりか、結構カードも落ちていることでしょう。落としたのが一万円札だったら?もちろん各駅停車になろうがその急行には乗りませんでした。