町田市議会議員 会派「自由民主党」/(一社)落語協会 真打 三遊亭らん丈【公式ウェブサイト】

三遊亭 らん丈

2015年 総務常任委員会 行政視察報告書議員活動

2015.07.12(日)

 2015年6月30日から7月2日にかけて実施された、町田市議会総務常任委員会の行政視察報告書を掲出します。

【視察先】オガール紫波株式会社(岩手県紫波町)、岩手県花巻市、岩手県盛岡市

【調査事項】1,市街地整備について、2,産業及び観光の振興について、3,広報・広聴について

【視察所感】
【「紫波町オガールプロジェクト」について〜公民連携によるまちづくり】
1、これまでの流れ
 紫波町にJRの駅がないため、地元負担による新駅設置を要望したところから、この構想は始まった。
 そのため、「オガールプロジェクト」とは、「紫波中央駅前都市整備計画」のことをいう。
2、駅前開発のため紫波町は、住宅供給公社から10.7ヘクタールの土地を28.5億円で平成10年に、購入している。
 しかし、紫波町財政の実質公債費比率が上昇し、基金が減少したこともあり、その後、事実上この計画は、凍結された。
3、首長のリーダーシップとキーパーソンの存在
 平成18年4月に東洋大学大学院経済学研究科に公民連携専攻が設置され、そこに、都市開発、地域開発の経験をもち、町内の建設会社に勤務するO氏が社会人入学をして研究を進めるなかで、町に対して公民連携の手法を導入してまちづくりを進めることを提案した。
 そこに、藤原孝町長(当時)のリーダーシップによって、まちづくりに対する強い思いと決断力が大きな要因として働いた。
4、紫波中央駅前町有地関連の経緯
 平成19年3月の紫波町議会定例会にて、藤原町長は、「平成19年度は公民連携元年」であることを表明した。
 同年4月に、町は東洋大学大学院経済学研究科公民連携専攻に職員1名を入学させ、公費によって就学させる。
 また、紫波町と東洋大学は「公民連携の推進に関する協定」を締結した。そのことで、東洋大学は最小の財政負担で最大限の公共的目的を達成することを目指す「地域再生支援プログラム」としての可能性調査を実施。町は、庁舎、図書館、学校給食センター(当時。後、整備は別途検討することとされた)の3施設を紫波中央駅前の公有地に整備する可能性について学術的視点からの研究を依頼した。
5、PPP推進協議会を設立
 平成19年11月に町は、紫波町PPP推進協議会を設立し、全国都市再生モデル調査事業を実施する。
 平成20年6月には、「公民連携基本計画」(案)を策定し、これをもとに年内に町民の意見公募、意見交換会をおこなった。
 平成21年3月には、「公民連携基本計画」が紫波町議会で議決された。
 同年4月に、紫波町は、国土交通省に受理された紫波中央駅前地区の「都市再生整備計画」に基づき、道路などインフラを整備する紫波中央駅前都市整備事業に着手する。
 平成21年6月には、紫波町全額出資のオガール紫波株式会社が設立された。
 平成21年10月に、事業者資格審査(RFQ)を開始し、建設事業に着手した。
 平成22年12月には、オガールプラザ整備事業を民間都市再生整備計画として国土交通大臣から認定していただき、出資してもらうための協議を正式に開始した。
 平成24年2月には、民間都市再生整備事業計画(オガールプラザ整備事業)が都市再生特別措置法の規定に基づき、国土交通大臣から認定された。
 このことによって、オガールプラザ株式会社は民間都市開発推進機構からの出資を得ることができた。
6、公民連携基本計画
 平成21年3月に「公民連携基本計画」が紫波町議会で議決されたが、その計画の目的は、次のとおりであった。
「町民の資産」である町有地を活用して、財政負担を最小限に抑えながら、公共施設整備と民間施設等立地による経済開発の複合開発を行うこと。
 また、その開発理念は、次のとおりであった。
都市と農村の暮らしを「愉しみ」、環境や景観に配慮したまちづくりを表現する場にする。
7、オガール紫波が考えるまちづくりの手順
1)「まちづくり」には手順がある。それを間違ってはならない。
2)付加価値をつければ価値そのものを増大させられる。
3)まちづくりは「人」ではなく「不動産」価値の向上。
8、総括
 オガール紫波(株)並びにオガールプラザ(株)等の各事業者は、紫波町と共にオガールプロジェクトに取り組んでいる。
 人口3万4千人余の地方の小さな自治体にあって、行政との適切な役割分担と情報交換を行いながら、公民連携手法による公共施設整備や経済開発を通じたまちづくりをすすめ、その成果が着実に表れてきている。
 紫波町同様にいずれの地方都市でも抱えている少子高齢と人口減少社会状況下でのインフラ整備のあり方や福祉施策への取り組み等については、緊縮財政の中でも止むことなく求められる現状にあり、課題は常にある。
 紫波町とオガールプロジェクト及び各事業者はこうした課題を見据えつつ事業展開に挑戦を続けている。

【花巻市起業化支援事業について】
1、花巻市の工業
 古くは江戸時代に創業された味噌・醤油工場に始まり、明治・大正時代にかけての農産物加工主体工場、昭和初期の窯業・瓦工業・農機具製造など、地場消費型の生産工場が主体だった。
 戦後の経済成長期には、新興製作所を頂点とする企業城下町的構造が長く続くなか、リコー光学、松下通信工業など大手企業が立地操業。市の産業政策は、企業誘致に大きくシフトした。
 誘致起業群と地場企業群との様々な面での乖離が次第に明らかとなり、従来の起業誘致政策にくわえた新たな振興策の必要性を痛感するようになった。
 平成8年度には、県内初となるインキュベート施設「花巻市起業化支援センター」を開設し、企業誘致との二本柱となる内発型振興策を明確に定義した。
2、内発型振興施策
 北上川流域テクノポリス開発計画(昭和62年9月)における花巻市の位置づけに「研究開発センターとハイテクベンチャーパーク(独立起業家ハイテク団地)の整備」が盛り込まれる。
 その後、「インキュベート施設」立ち上げの構想が出来上がったが、その財源確保を困難とするなか、研究会メンバーの関満博(一橋大学教授、当時)の「ベンチャー支援に立派な施設はいらない」とのアドバイスを受け、民間空工場を借り上げるかたちで試行的な「花巻市起業化支援センター」を市内石神町に開設(平成6年度)した。
3、内発型起業化支援センター
〔施設の性格〕
1)製造業を対象とする「入居型インキュベート施設」
2)花巻市・内発型振興施策の中核的機能を有し、入居企業のみならず地域企業全体をカバー。
3)岩手県における「新事業支援機関」としての位置づけ。
〔入居資格〕
 製造又は製造に関する業種で、以下のいずれかに該当するもの。
1)研究開発型企業(研究開発に取り組むテーマを持つもの)
2)高度技術保有企業(高度な技術を有し、市内に工場展開を図ろうとするもの)
3)ベンチャー企業(新たに創業しようとするもの)
4、花巻市新事業創出基盤施設設立の背景(使命)
※内発型の振興策(地域性・目的)
昭和62年 テクノポリス計画における花巻市の位置づけ
昭和63年 花巻市独立起業家ハイテク団地建設構想研究会の立ち上げ
平成2年 花巻市・花巻工業クラブ共同での地域企業調査実施
平成3年 花巻市の新たな工業重点施策として「内発型振興」を定義
平成6年 民間工場を借り上げ『花巻市起業化支援センター』を開設
平成7年 整備用地として工業団地『テクノパーク』の造成開始
同年 STZ構想における産学官連携研究施設としての位置づけ
同年 現在の花巻市起業化支援センターの事業に着手
平成8年 センター開所・貸工場棟の拡張整備『民間企業経験者コーディネーターの採用・拡充』
5、入居状況の推移
平成13年度の入居率100%、その後も平成18年度までは、高水準の入居率で推移。
平成23年度後半より、震災支援での入居にくわえ、通常の入居も増加。
平成26年度は、設立以来最多入居審査会となる6回開催した。
平成26年度末現在の施設全体の入居率は77.8%、総従業員数158名。
6、内発型振興のコーディネート活動(人材)
1)入居企業のみならず市内企業すべてを対象にコーディネート活動
2)外部経営資源とのマッチング(経営・開発・販路・資金調達・産学連携を中心)
3)能動的活動(大学シーズの地域普及・企業連携の調整、働きかけ)
4)リアルタイムな情報発信
 コーディネーター(キーパーソン)配置の考え方
1)プロパー職員(人事異動の無い)→ユーザーからの安心感
2)人的・機関とのネットワークが豊富
3)高い経営・技術・マーケティング能力
4)企業に受け入れられる人間性

【盛岡市・「盛岡ブランド開発について」〜「盛岡ブランド推進計画」と「特産品ブランド認証制度」〜】
1、第二次盛岡ブランド推進計画
 盛岡市は、これまでの盛岡ブランドの推進における成果と課題を踏まえ、盛岡ブランドの市内外への一層の浸透を図るため、平成27年3月に第二次盛岡ブランド推進計画を策定した。
2、盛岡ブランド推進の経緯
 人口減少、少子高齢化の進行、地方分権の進展などにより地域間競争が激化するなか、盛岡市が、訪れたい、暮らしてみたいなど市内外の人々から「選ばれるまち」になるため、平成18年1月に盛岡ブランド推進計画を策定し、盛岡の価値や魅力を「盛岡ブランド」として開発、展開してきた。
3、「盛岡ブランド」推進計画(平成17年度〜平成26年度)
 4つの主要プロジェクト
1)まちなみ保存活用
2)特産品認証
3)水の恵み活用
4)先人と文化振興
 2つの重点取組み事項
1)意識共有と市民協働
2)広報宣伝
 成果
1)有形・無形の価値や魅力を「盛岡ブランド」として整理・体系化
2)盛岡ブランド宣言、キャッチコピー、ロゴマークの作成による統一感のあるPRを実施
3)三大麺や南部鉄器など個々のブランドの全国的な知名度が向上
 課題
1)市民への浸透が不十分
2)ブランド推進のための仕組みの一部が形骸化
3)シティプロモーションの視点に基づく市外への情報発信が不足
4、盛岡ブランドとは
1)自然と暮らしの物語
2)暮らしと伝統の物語
3)先人と文化の物語
4)人と人を紡ぐ物語
 宣言文
望郷の岩手山 麗しの姫神山
鮭が遡る川
歩きたいまちなみ
鮮やかな四季が彩る城跡
盛岡には 自然と暮らしの物語があります
伝統が生きる技と工夫のものづくり
南部杜氏の地酒
南部鉄器は用の美
清らかな水と大地の恵み
盛岡には 暮らしと伝統が培った物語があります
時代を先駆けた原敬・新渡戸稲造
時空を超えた啄木と賢治
数多くの先人の夢
暮らしをあやなす芸術と文化
盛岡には 先人と文化の物語があります
やわらかな盛岡言葉と人のぬくもり
盛岡には 人と人を紡ぐ物語があります
いにしえから現代 未来へ
脈々と続く盛岡の暮らしの中から生まれる
ひとつ ひとつの大切な物語
ようこそ
もりおか暮らし物語へ
5、盛岡特産品ブランド認証条件・認証基準
1)認証の条件
(1)盛岡市内の事業所で製造される製品又は盛岡市内で収穫される農産物など
(2)食品については、日本農林規格に規定される製品については、規格については、規格に沿った製造・生産並びに表示基準が満たされていること。
(3)食品以外については各々の製品に関する関係法令や安心・安全に関する基準を満たし、PL法対象製品についてはPL保険に加入していること。
(4)上記の他、認証基準を満たし、市民グループのアンケート等により市民の推薦があった商品も認証申請と同様の扱いとする。
2)認証基準
 上記の認証の条件を満たすもののうち、特産品の種別ごとに定める認証基準をクリアしたものについて、盛岡特産品ブランド認証委員会が審査する。
6、盛岡特産品ブランド認証の決定
1)認証の決定
盛岡特産品ブランド認証の決定は、「盛岡特産品ブランド認証委員会」が行う。
認証委員会は、第三者機関、消費者、学識経験者などで構成する
2)認証の有効期間
 認証の有効期間は4年。
3)認証にかかる費用
(1)新規申請の場合
・認証申請基本料 1事業者当たり5,000円
・品目手数料 申請1品目(1分類)につき1,000円
(2)更新申請の場合
・認証申請基本料 1事業者当たり3,000円
・品目手数料 申請1品目(1分類)につき500円
4)認証状況(平成27年3月31日現在)
・認証事業者数 124事業所
・認証件数 169件