町田市議会議員 会派「自由民主党」/(一社)落語協会 真打 三遊亭らん丈【公式ウェブサイト】

三遊亭 らん丈

会派『自由 民主』 行政視察2013年1月22日「電子投票の実施について」議員活動

2013.01.25(金)

視察所感
岡山県新見市、視察事項「電子投票の実施について」
(1) 新見市の概要
1)新見市(にいみし)は、岡山県西北部、吉備高原上に位置する市である。市の北は中国山地を介して鳥取県に、西は広島県に接する。現行の新見市は、2005年に旧・新見市と阿哲郡大佐町・神郷町・哲多町・哲西町の1市4町が対等合併し新設されたものである。なお、同市の面積と人口は下記のとおりである。
面積 793.27km?
総人口 32,653人
(推計人口、2012年12月1日)

2)新見市は全国においていち早く、県庁所在市でないのにもかかわらずパスポートの発給を開始し、また市内で完結する県道16路線の管理を行うなど、岡山県からの事務・権限移譲を積極的に行っている。

(2) 新見市での選挙について
 平成14年3月に新見市電子投票条例が公布された。
 そこで、同年6月の新見市長・市議会議員選挙では、全国初となる電子投票が実施された。この場合の、電子投票とは、投票を投票用紙に自書することによって行うのではなく、ディスプレイ上の立候補者名をタッチすることによって投票を行うことを指す。

 この条例のもと、平成16年10月の岡山県知事選挙においても、電子投票は実施された。
 その後、平成17年3月の新見市と周辺町村との合併によって、新見市電子投票条例が失効したことによって、平成17年の新見市長・市議会議員選挙は自書式に戻った。

 そこで、平成18年10月に新見市電子投票条例があらためて制定されたため、平成21年の新見市長・市議会議員選挙では、電子投票は復活し、今年(平成25年)に執行される新見市長・市議会議員選挙においても、電子投票は引き続き実施される予定である。

 当然ながら、衆議院選挙や参議院選挙のような国政における選挙は、法定受託事務のため、自書式によって実施されている。

 また、岡山県の電子投票条例は、新たな新見市ができたことによって、廃止された後、同種の条例は制定されていないため、岡山県知事、岡山県議会議員選挙ともに、自書式に戻って実施されている。

(3)電子投票を実施している自治体
【電子投票実施順】※は、現在も実施している
1、岡山県新見市※
2、広島県広島市(安芸区)…条例廃止
3、宮城県白石市………休止中
4、福井県鯖江市………条例廃止
5、岐阜県可児市………条例廃止
6、福島県大玉村………1回休止(平成23年のみ)※
7、神奈川県海老名市…条例廃止
8、青森県六戸町※
9、京都府京都市(上京区、東山区)※
10、三重県四日市市…休止中

(4)地方選挙電子投票特例法
 地方公共団体の議会の議員及び長の選挙について、条例により電磁的記録式投票機を用いた投票を行うことができるよう公職選挙法の特例を定める「地方公共団体の議会の議員及び長の選挙に係る電磁的記録式投票機を用いて行う投票方法等の特例に関する法律」(電磁記録投票法)が第153回国会で成立し、平成13年12月7日に公布、平成14年2月1日から施行された。

 上記法が対象とする投票は、投票日当日の投票所での投票に限られるため、期日前投票では、実施できない。
 上記法による投票の特徴として、投票機器を電機通信回線に接続することが禁止されていることが挙げられる。これは、不正アクセスの禁止と投票(機)所ごとの得票集計の禁止を実現するための措置である。

 上記法を実施する場合は、当該自治体において、条例を制定する必要がある。

(5)電子投票導入の背景
 新見市政の課題の解決に資するものがあったため、電子投票は導入された。その市政の課題とは、市勢の活性化、過疎化・高齢化の進展、地理的不利条件、行政の効率的運営である。

 そのため、同市は新見市地域情報化計画を樹て、これらの課題を解決しようとした。その一環として、選挙執行の課題として、疑問票・無効票の問題、開票時間の短縮につながる施策として、電子投票が導入された。

(6)電子投票に期待する効果
1)開票時間の迅速・効率化
2)無効票・疑問票の削減
3)投票のバリアフリー化
4)若年層の投票率の向上

(7)電子投票システムの導入形態
機器は、すべてレンタル契約によって調達。それは、電子投票機、開票所集計機、カード発行機等に及ぶ。
 このことによって、機器の維持や更新が不要になる。また、使用の都度、機器の性能向上が期待できる。

(8)自書式投票と電子投票との違い
投票所では、下記の点が自書式投票とは異なる。
・投票用紙の代わりに投票カードを交付
・投票の際には、選択のし直し(書き直し)が可能
・投票箱への投函に代わって、最終意思確認がある。
・同日選においても、投票用紙の渡し間違いがなくなる。

(9)投票・開票の状況
平成14年実施分
投票の状況(市長選挙)
投票率:86.82%
開票の状況(市長・市議選挙)
電子投票分30,132票 開票時間25分
不在者投票分3,524票 開票時間2時間

平成21年実施分
投票の状況(市長選挙)
投票率:84.64%
開票の状況(市長・市議選挙)
電子投票分 48,353票 開票時間6分
不在者投票分760票 開票時間60分

(10)有権者の電子投票への評価
設問:電子投票の導入についてどう思いますか?
賛成:83%
反対:4%
どちらともいえない:13%
設問:投票機器の操作性はいかがでしたか?

操作しやすい:98%
操作しにくい:1%
どちらともいえない:1%

賛成理由
1)操作が簡単で投票しやすい
2)開票時間が迅速
3)疑問票・無効票が発生しない

(11)電子投票に係る経費について
平成21年の市長・市議選挙に関しては、電子機器の契約台数は、201台であり、その機器レンタル代金は、24,998千円であったが、それは、概ね地方交付税によって充当したとのことであった。