町田市議会議員 会派「自由民主党」/(一社)落語協会 真打 三遊亭らん丈【公式ウェブサイト】

三遊亭 らん丈

2010年 建設常任委員会 行政視察報告書議員活動

2010.05.11(火)

 2010年4月26日から28日にかけて行われた、町田市議会建設常任委員会の行政視察報告書を掲出します。 
 視察先は、岐阜県各務原市、愛知県名古屋市、富山県富山市の3市にわたり、調査事項は、環境政策について、清掃政策について、都市計画事業について、交通輸送対策について、でした。 

行政視察報告書 
建設常任委員会行政視察 平成22年4月26日(月)〜平成22年4月28日(水) 
視 察 先 岐阜県各務原市、愛知県名古屋市、富山県富山市 
及 び 
調査事項 ・環境政策について・清掃政策について・都市計画事業について・交通輸送対策について 

 視察所感 
1、岐阜県各務原市 
(1)景観計画策定の経緯について 
 平成13年に豊かな緑と水辺空間など、各務原市の特性を生かした「水と緑の回廊計画」という各務原市緑の基本計画を定めたが、一方で市域の大部分を占める民地を意識した景観行政は、遅れをとっていた。 

 そこで、平成16年に景観法が制定されたのに伴い、市独自の景観条例を定め、「水と緑の回廊計画」との整合性を保ちながら、よりよい「まちづくり」を行うため「景観基本計画」を策定した。 

 また、名勝木曽川において、風光明媚な犬山城の対岸に位置する各務原市側に、周辺の建築物の2倍にもなる高さのマンション(14階建て)が合法的に建築されたことも相俟って、平成18年に「景観計画」を策定することとなった。 

(2)景観計画の理念について 
 『公園都市・かがみがはら』の景観をひとりひとりが考え、みんなの手でつくることを基本的な理念としている。 
 真の意味で「個性が輝く都市」、「おしゃれで美しい街」をくりあげていくという観点から、市全体を公園都市とみなし、それに相応しい都市の景観を市民一人ひとりの手で創出することを理念としている。 

(3)「緑の都市賞」、「計画設計賞」等の受賞について(水と緑の回廊計画) 
・「緑の都市賞」国土交通省都市緑化基金主催の「緑の都市賞」は、昭和56年に創設された制度であり、部門は「施設緑化」「地域緑化」「緑の都市づくり」の3部門で、内閣総理大臣賞は各部門を通じて最も優秀な団体に与えられるものであり、それを平成17年に受賞した。 

・「計画設計賞」「水と緑の回廊により21世紀環境共生都市の基盤を創る−岐阜県各務原市における取り組み‐」として、市アドバイザーである東京大学大学院石川幹子教授とともに表彰された。計画設計賞は、都市計画に関する計画、設計、事業などに関する近年の作品で、都市計画の進歩、発展に顕著な貢献をしたものを対象とする。 

・「建築業協会賞」社団法人建築業協会が昭和35年に創設したもので、供用開始後1ヶ月を経過した建築作品で、事業企画から運用・維持に至るまで総合評価が行われる。それに、「瞑想の森」が、設計者の伊東豊雄、施工者とともに建築主の各務原市が表彰された。 

・これは、受賞こそしていないものの、岐阜県が各務原市に整備している先進情報産業団地(研究開発拠点)テクノプラザは設計がリチャード・ロジャースによるもので、見ごたえがあった。 

(4)高さや大規模な行為の制限について 
 建築物の高さの最高限度:たとえば、森の風景地区であれば、市街化調整区域のうち農用地の指定地では高さの基準が10m以下であり、第1種住居地域では高さの基準が20m以下へと緩和される。 

 大規模な行為に関する制限:“公園都市・かがみがはら”にふさわしい良好な景観の形成のため、大規模な行為に関する制限を定める。 

(5)色彩ガイドラインについて 
1)公園都市にふさわしい色彩計画 
 各務原市では、公園都市の実現に向けて様々な取り組みを行っており、公園都市にふさわしい景観をつくりあげていくために、山や川の自然、田園や歴史的な風景、まちの中の緑などがより活かされるような色を使うように指導している。 

2)風景区域に区分 
 市内の景観特性を踏まえて4つの風景区域に区分する。さらに、まちの風景区域では都市計画の用途地域を基準として住宅地、商業地、工業地の3つのエリアに区分している。この区域区分をもとに色彩計画の方針と色彩指針を定める。 

(6)景観形成ガイドラインについて 
 グリーンランド柄山は、以下に掲げる規定が適用されている。 
・グリーンランド柄山景観地区 
・グリーンランド柄山景観形成ガイドライン 
・土地分譲契約書 等 
 景観地区に関する制限のうち、形態意匠については各務原市の認定、その他の制限については建築確認申請で確認する事項となる。 

 景観形成ガイドラインに関する具体的運営は、グリーンランド柄山景観形成委員会において行う。なお、この委員会では、各戸の具体的な建築計画の適切な誘導及びグリーンランド柄山にふさわしい良好な景観形成に向けて維持管理等の具体的な運営も併せて行う。 

(7)市民との協働や地域住民との合意形成について 
 重点風景地区の景観計画の策定に当たっては、ワークショップや説明会を開催し、住民の意見を聞き、出席者の合意が得られるまで説明会を開催することにより地域住民との合意形成を行っている。 

 重点風景地区の中山道鵜沼宿地区については、中山道鵜沼宿まちづくりの会の意見をまちづくり再生計画に反映させ、市民と協働でまちづくりに取り組んでいる。 

(8)地域住民の意識改革について 
 重点風景地区の景観計画の説明会にあたっては、事前に地権者・建物の所有者に風景基準(案)を送付して周知を図ったり、広報紙・ウェブサイト・出前講座によるPR、各務原市都市景観賞の授賞式にシンポジウムを開催することなどにより、市民の景観に対する意識が向上してきている。 

(9)今後の課題について 
 重点風景地区の指定の拡大、重点風景地区から景観地区への移行、高度地区の指定の検討、違反屋外広告物の撤去、屋外広告物の色彩基準の規制、建築士会や宅地建物業取引業界に対する景観計画に対する周知の徹底等、さらなる景観向上への取り組みが必要であるとの認識である。 

2、愛知県名古屋市 
(1)使用済み小型家電の回収モデル事業(レアメタル)と一般廃棄物処理について 
1)使用済み小型家電の回収モデル事業(レアメタル)について 
 名古屋市では対応状況は、不燃ごみとして回収し、破砕して鉄・アルミを選別回収した後、可燃分は溶解または焼却、不燃分は埋立て処分している。ただ、名古屋市としては、拡大生産者責任の観点から小型家電メーカーが引き取り、資源化することが望ましいと考え、家電リサイクル品目の拡大を要望していくとのことである。また、名古屋市の資源循環ものづくり研究会で、使用済み小型家電の安定的かつ自立的なリサイクルシステムの確立を検討している。 

2)一般廃棄物処理について 
 名古屋市は、「埋立処分場も焼却工場も一杯」という状況の中で、平成11年2月、ごみ非常事態宣言を行い、市民に徹底した分別をお願いした。 

 その結果、ごみ量は3割減、埋立量は6割減と大きな成果を挙げ、ごみがあふれるかもしれないという「非常事態」から、何とか抜け出すことができた。 

 新たに策定した「名古屋市第4次一般廃棄物処理基本計画」では、「ごみも資源も減らす、生かす」という基本方針のもと、現状からさらに2割のごみ減量という「挑戦目標」を掲げた。 

(2)コミュニティサイクル(名チャリ)社会実験について 
 名チャリとは、名古屋大学大学院環境学研究科教授竹内恒夫研究室の学生たちが発案したもの。名古屋市内の放置自転車を再生・活用したコミュニティサイクルの愛称である。 

 名古屋市は全国でも有数の放置自転車が多い都市である。その放置自転車を再使用し、コミュニティサイクルとして活用しようと試みたのが「名チャリプロジェクト」である。過去2回の社会実験から、放置自転車の削減、CO2排出量の削減、地域活性化等の効果を生む可能性を把握することができた。今後も「名チャリ」が名古屋市の公共交通の一翼を担うよう、調査・研究を行っていく。 

 コミュニティサイクル(名チャリ)が、今後、事業として本格実施することが可能かどうかを検証するため、昨年度に引き続き、社会実験を行う。 

 平成22年度の社会実験は、昨年度の利用状況等と比較検証するため、同エリア・同規模で実施する。主な変更点は、登録料・利用料を有料とすること、自転車の貸出・返却システムをICカードなども利用できる無人化されたシステムとして使用することである。 
 なお、社会実験の運営費については、名古屋市の予算のほか、登録料、利用料、協賛金、広告収入などで賄うことを予定している。 

3、富山県富山市 
(1)環境モデル都市の概要について 
1)目的と取組み 
我が国を低炭素社会に転換していくためには、ライフスタイル、都市や交通のあり方など社会の仕組みを根本から変えることが必要である。 

 「環境モデル都市」は、今後目指すべき低炭素社会の姿を具体的に分かりやすく示すため、温室効果ガスの大幅削減など高い目標を掲げて先駆的な取組みにチャレンジする都市を選定し、その実現を支援する。 

 市民や地元企業の参加など地域一丸となった底力の発揮により低炭素型の地域モデルを実現する。 
 その結果、平成20年7月22日に、富山市は認定を受ける。 
 それは、公共交通を軸としたコンパクトなまちづくりを核としたCO2削減計画が評価されたものと考えられる。 

 CO2削減の進め方として、富山市は、1)公共交通の活性化を推進し、2)まちなか居住への支援をし、3)新エネルギーなどの導入を支援すること等を行政が行うことを策定した。 

 市民は、1)公共交通の積極的な利用、2)まちなかへの住み替え、3)ゴミの減量化などのエコライフの推進、4)森林ボランティアなどへの積極的な参加等に取り組むようにする。 

 企業は、1)環境負荷低減設備の導入、2)通勤などでの公共交通の利用促進、3)エコ商品の開発・普及などのエコ企業活動の推進等に努める。 

 上記のことを推進することで、CO2を中期目標として2030年までに30%、長期目標として2050年までに50%の削減を図るようにする。 

2)「チーム富山市」について 
 市民や企業が自主的に創意工夫型の温暖化防止行動と、その目標を掲げ、市長がキャプテンを勤めるエコ活動組織「チーム富山市」の一員として取り組むことによる、官民一体となった総参加型のCO2削減行動である。 

 各チームが電気使用量、料使用量等の削減目標をたて、取組みを実施することにより、CO2削減を図る。 

3)「富山市エコタウン産業団地」について 
 富山市の北部工業地帯にある工場跡地、約18haを「エコタウン産業団地」として、資源循環拠点に位置づけている。 
 このエコタウン産業団地に、リサイクル施設を集約するとともに、エネルギー利用も含め団地内のゼロ・エミッション化を進めている。 

 第1期事業として、平成15年度には、ハイブリッド型廃プラスチックリサイクル施設、木質系廃棄物リサイクル施設、生ゴミ及び剪定枝のリサイクル施設、自動車リサイクル施設の4施設が操業をすでに始めている。 
 このことにより、マテアリサイクルを優先した地域内での資源循環が前進した。 

 第2期事業として、平成17年度には廃合成ゴムリサイクル施設、平成18年度には、難処理繊維及び混合廃プラスチックリサイクル施設、廃食用油リサイクル施設の3施設が操業を始め、これにより、現在エコタウン産業団地は7施設がそろい、サーマルリサイクルも含めた資源循環を推進しており、今後も新たなリサイクル施設についても、事業化に向けて取り組んでいくとのこと。 

 富山市では、エコタウン交流推進センターを整備し、平成17年度からオープンしたことにより、環境学習と環境活動の拠点施設として、エコタウン産業団地への見学会や啓発事業などを行っている。 

(2)自転車共有システムについて 
1)自転車市民共同利用システムとは 
 市内各所に設置された「ステーション」から、自由に自転車を利用し、任意のステーションに自転車を返却することができる新しいレンタサイクルのこと。 

 環境にやさしい自転車による公共交通として注目されており、近年欧州各地で社会実験などの取組みが始まるなど、新たな交通サービスとして非常に高い関心を集めている。 

2)従来のレンタサイクルとの違いは 
1、民間業者による施設整備・運営が行われている。 
2、貸出しステーションが多い。 
3、24時間の利用が可能 
4、端末機の操作による自動(無人の)貸出し、返却可能 
5、好きなステーションで借りて、好きなステーションで返却できる 

3)導入の背景 
 環境モデル都市として、「公共交通を軸としたコンパクトなまちづくり」によるCO2排出量を大幅削減を目指しており、特に過度な自動車利用の見直しが大きな焦点となっている。 

4)目的 
 中心市街地に、IT技術を駆使した自転車シェアリングを導入し、特定エリアの多地点に狭い間隔でステーションを配置することで、交通網としての利便性を高めることにより、近距離の自動車利用の抑制を促し、二酸化炭素の排出量の削減を図るとともに、中心市街地の活性化や回遊性の強化を目的とする。 

5)内容 
 民間事業者が中心市街地の歩道上など15箇所に、ステーション等の設備や自転車を設置する。また、自転車のメンテナンス等、設備設置後の事業の運営も行う。