5月20日 三重県津市、視察項目【公園・緑地政策について】
5月21日 兵庫県明石市、視察項目【都市計画事業について】
5月22日 静岡県三島市、視察項目【環境政策について】
【三重県津市】5月20日
1、中勢グリーンパークについて
(1)Park-PFI事業導入について
中勢グリーンパークは、平成13年の一部供用開始から継続して国からの交付金を活用して整備を進めてきたが、近年、全国的に都市公園整備に係る交付金の確保が困難となっている中、中勢グリーンパークにおいても、計画どおりに整備が進まない状況にあった。そのため、未整備エリアのほかに基盤整備まで完了しているものの開園に至っていないエリアが存在していた。
このような状況の中、平成29年6月の都市公園法の一部改正により、民間活力による公園整備を目的とする公募設置管理制度(Park-PFI)が創設され、国土交通省からは、中勢グリーンパークの整備にあたっては、国の交付金が重点的に配分されるPark-PFIを活用してはどうかとの助言があった。 これを受けて、当公園におけるPark-PFI活用の可能性を検討するため、平成30年度当初予算に官民連携事業導入支援業務に係る予算を計上し、検討を開始した。
(2)サウンディング型市場調査について
官民連携事業の市場性及び参入の可能性を確認するための民間事業者への聞き取り調査(サウンディング型市場調査)を、令和元年5月21日から31日までを第1回目、同年9月25日から同年10月9日までを第2回目として実施した。
調査においては、都市公園の設置目的や各種条件、利用者ニーズ調査及び利用状況調査で確認した課題等を示した上で、「利用者ニーズを充足できる施設整備」「広域から人々を集めるための工夫」「利用者が安全安心に過ごせる管理運営」等、公園の整備・管理・運営について広く民間事業者に意見を求め、市場性及び参入の可能性について調査をおこなった。
当該調査の結果、民間事業者からは、事業の参入に当たっては、「新たな来園者を確保するために、イベント等を継続的に実施することで更なる魅力向上を図ること」や「利用者の快適性を高めるために、芝生の管理など、現在の維持管理水準を更に向上させること」などにより、中勢グリーンパークの価値を高めることで、公募対象公園施設として飲食施設の整備・運営とそれに合わせた特定公園施設の整備は可能であるという意見があった。
(3)整備事業の内容について
公園名:中勢グリーンパーク(総合公園)
所在地:三重県津市あのつ台5丁目757-1
都市計画決定:平成9年5月13日
面積:計画面積約28.30ha 共用面積約16.56ha(令和5年4月現在)
共用開始:平成13年4月1日(約5.85ha)
Park-PFIによる整備概要
面積:第3期エリア(面積約1.7ha)
整備目的:「広域的な誘客」、「利用者層の拡大」、「一年を通じた賑わいの創出」など、さらに魅力あふれる公園づくり
公募対象公園施設:飲食施設(カフェ)、キッチンカースペース、自動販売機
特定公園施設:管理棟、日陰施設、トイレ、遊戯施設(芝そりゲレンデ)、
ドッグラン、バーベキュー場、多目的広場(イベントスペース)、植栽、園路及び駐車場
整備費用:1億7,000万円(市負担額1億5,300万円)
財源:社会資本整備総合交付金(国費率1/2)
(4)行政と民間事業者それぞれのメリットについて
公園管理者側
公共部分の整備に収益を充当させる仕組が法定化され、選定プロセスが明確化されたことで、民間が参入しやすくなり、効果的・効率的な公園の再整備が促進される。
事業者側
法律に基づく各種特例措置によって、公園という立地環境を活かしつつ長期的な戦略をもって安定的な施設運営をおこなうことが可能となる。
公園利用者側
公園の利便性が向上するとともに、公園の周辺も含めたエリアの魅力向上につながる。
(5)地域住民の評価、反応について
Park-PFIで整備をおこなった有料公園施設の令和5年度の利用状況は、以下のとおりである。
新エリアオープン後、初年度となる令和5年度の利用状況は、気候のよい4月、5月が最も利用者が多く、暑さが厳しい8月が最小となった。気温が下がる冬期においても、芝そりゲレンデとドッグランにおいては、一定の利用がありました。一方、バーベキューの利用者は2月に最も少なくなった。
芝そりゲレンデはオープン以降、特に利用状況が良好であったため、円滑に利用していただけるように運営面の検討をおこなった結果、1時間毎の交代制により利用して頂いている。
(6)今後の課題・取組について
・令和5年度の実績では、猛暑日が続く7月8月において、最も来園者が減少する結果となった。繁忙期と閑散期の差が激しいため、カフェの運営面において苦慮される結果となった。この来園者が大きく落ち込む時期への対策として、イベント実施回数を増やすことを指定管理者と検討をおこなう予定である。
・芝そりゲレンデの利用にあたっては、1人あたり100円の利用料を徴収しているが、利用者が多くなる時期においては、料金の徴収に手間がかかり、運営上の負担となっている。そこで、発券機等の検討を行う予定である。
・ドッグラン、バーベキュー場については、他市の公園や民間施設を調査研究し利便性や満足度が向上し利用増に繋がるよう、指定管理者とともに引き続き検討する。
【兵庫県明石市】5月21日
1、明石市中心市街地活性化基本計画について(駅前再開発について)
(1)計画策定の流れについて
再開発の背景として、明石海峡大橋が1998年に開通したことによって、海上交通利用者数が減少し、明石駅から明石港に至る歩行者が減少したことにくわえ、ダイエー明石店が2005年に撤退し、明石の玄関口である駅前空間が空洞化し、中心市街地の賑わいが喪失し、明石の象徴となるまちが衰退していったことが挙げられる。
そこで、平成20年に「明石市中心市街地活性化協議会」を設立し、平成22年には1期計画が大臣認定された。引き続き、平成28年には2期計画が大臣認定を受けた。
(2)基本計画の概要
1期計画での基本コンセプトは、「人々の暮らしを、海・食・時で彩るまちに」というもので、2期計画の基本コンセプトは、「「海・食・時」のまちに更なる魅力を創造し賑わいあふれるまちへ」というものに発展した。
基本計画の数値目標は、駅前での集客は、平成26年の452,001人から平成32年の目標値は、900,000人へ、国道2号南への誘導は、平成27年の16,737人から平成32年には20,000人へ、経済活動の活性化では、平成27年の開店店舗数12店から平成28年から平成32年の5年間では現状維持を目標とした。
(3)再開発事業の整備方針
1、中心市街地の活性化
・中心市街地活性化の核となる新たな機能の導入
・歩行者動線ネットワークの中心となるような仕掛けづくり
・中心市街地が一つのショッピングセンターとなる店舗構成
(新たな店舗を誘致する場合は業態を競合させない)
2、都市の『身の丈』にあった再開発
・権利者の生活再建を重視した計画
・リニューアル可能な床構成
(特殊な設備を必要とする店舗は導入しない)
・保留床は需要に応じた用途・規模とする
(長期的に運営持続可能は公共施設の導入)
(4)再開発へのパブリックコメント
再開発に向けて2回にわたってパブリックコメントをおこない、市民の声を活かす工夫をした。
そこで、再開発事業への市民の意見反映として次の3点が挙げられる。
1)市民がより納得できる「手続き」
2)市民がより納得できる「内容」
3)市民がより納得できる「負担額」
(5)再開発ビルの構成
1、住宅棟は、民間デベロッパーが戸数を検討し216戸が即日完売
2、駐車場は、附置義務台数のみ整備(約150台)
3、商業施設は1階から3階に配置し、その1階は元あった横丁の雰囲気を残し、飲食店を中心とした構成にし、2階は中央にあかし市民広場というイベント空間を配置し、くわえて大型店舗を配置した。その店舗は、ジュンク堂書店である。3階は、医療や美容などのサービス業を配置した。
4階から6階には公共施設を配置し、4階には図書館を移設した。その際、2階のジュンク堂書店は新刊書店なので、公立図書館とは競合しないと予測しての移設である。5階には、あかし子育て支援センターや親子交流センターからなるあかしこども広場を配置し、6階にはあかし総合窓口とこども健康センターを配置した。
それ以外には、34階建ての住宅棟がある。
この再開発ビルができたことにより、ビル周辺への回遊性が創出された。
(5)事業費
工事費は227億円で調査設計費等をいれると315億円かかり、そのうち一般会計予算からは148億円充当した。それ以外は、公共施設管理者負担金29億円や保留床処分金等115億円がある。
(6)その他の活性化事業 日活映画館(成人映画館)を大衆演劇場に改修した。それと併せて、景観ガイドラインを策定した。
(7)事業効果の検証
・市役所窓口では、取扱い件数が2倍以上となった。
・子育て支援施設は日々多くの方々が来館している。
・図書館は駅前施設に移転したことにより、来館者数が3倍以上になった。
・こども広場は、アスピア内にあった旧子育て支援センターに比べて内容も充実し、利用人数も増加し市内外から幅広く利用されている。
・市民広場は、オープン以来、休日はほぼ稼働しており、様々なイベントが開催されている。
・駅に近い箇所では地価の上昇がみられているが、離れた箇所では下げ止まり傾向にある。
・人口は、再開発の高層住宅を建設したことにより、約300人増加した。駅周辺の増加にくわえ、半径1km圏内でも人口が増加している。
・商店街では閉店も見られるが、それらを上回る新店舗や入替、改装などの経済活動が活発化した。
・夜の営業店舗は増加傾向だが、休日のディタイムの営業が減少している。
【静岡県三島市】5月22日
1、「メルカリ」を活用した粗大ごみ等の販売ついて
(1)三島市のごみ処理の現状
三島市は、市民1人当たりのごみ排出量は減少傾向にはあるものの、静岡県内の人口10万人以上の市においては、1人当たりのごみ排出量が4番目に多い市である。また、リサイクル率は直近で13.7%であり長年にわたって横ばい状態がつづいている。
また、三島市の最終処分場の残余容量は、約8%しか残っておらずこのままのペースで埋めると約3年で満杯になってしまう。そのため、年間約8,000万円の経費をかけて焼却灰等の約5/6を外部に搬出している。
それにくわえて、ごみ処理施設は平成元年に稼働を開始しているので、その老朽化も問題となっている。 そこで、三島市は家庭ごみの資源化を推進している。その主な取組としては、生ごみの堆肥化の推進、食品ロス削減の推進、もったいない食器市・ 子ども服市を開催している。
家庭ごみの資源化の推進の取組としては、資源物の分別徹底に係る周知啓発、各種市の施設において金属、古紙、衣類等26品目の資源化の促進、メルカリショップの活用をおこなっている。
(2)フリーマーケットアプリ「メルカリ」とは
日本最大級のフリーマーケットアプリであるメルカリは、月間利用者が2,200万人以上であり、フリマのプラットフォームを形成している。
2、三島市「メルカリShops」で粗大ごみ等の販売
清掃センターに搬入された家庭ごみのうち、まだ使える粗大ごみ等を「メルカリShops」に出品している。
この事業の目的は、次の3点である。
・市民のリユース意識の醸成
・リユースの推進によるごみの減量
・三島市の収入の増加
商品の引き渡しまでの流れ
1)市民が清掃センターにごみを直接搬入
2)現場作業員が出品できそうなものを選別
3)職員が状態を確認・清掃・撮影
4)職員が「メルカリShops」に出品
5)市民等が商品を購入
6)購入者は清掃センターで商品を受け取る
出品の判断基準
・500円以上で出品して売れる可能性のあるもの
・ごみ減量効果が高い物 例:重い家具、木臼
・致命的な欠陥やひどい汚れのないもの
メルカリShopsに出品していないものとして、下記の商品がある。
・家電製品
・自転車
・ガラス付テーブル
【総合的な所感】
今回の行政視察は、3市にわたっておこなったが、津市、明石市、三島市の説明員はいずれも担当された職員によるもので、それぞれ熱意のある説明であった。 このように、施策を展開・推進する際は、熱意のある職員がいるか、いないかで大きな違いが出るように感じられたものである。