町田市議会議員 会派「自由民主党」/(一社)落語協会 真打 三遊亭らん丈【公式ウェブサイト】

三遊亭 らん丈

2022年 総務常任委員会 行政視察報告書議員活動

2022.12.19(月)

10月24日 大阪府堺市、視察項目【財産の管理について
10月25日 静岡県島田市、視察項目【財産の管理について】
10月26日 神奈川県湯河原町、視察項目【町税について】
10月26日 神奈川県南足柄市、視察項目【財産の管理について】

【大阪府堺市】

(1)調査事項

公共施設の跡地活用について(関西大学堺キャンパス(旧堺市立商業高等学校)について)

1、事業の背景について

 平成18年に政令指定都市に移行した堺市では、当市における高等教育の充実と教育環境のさらなる向上を図り、堺市が今後も活力を維持し、豊かさを実感できる都市として持続的に発展するために、高等教育機能と研究機能の集積が必要と考え、世界に通用する人材供給や都市ブランドの向上にも資する大学高等教育機関を誘致することを決定した。

 平成19年に堺市立高等学校4校を再編し、新しい堺市立高等学校に整備することを決定し、その跡地の活用として、大学等高等教機関を誘致する公募を行い、跡地は平成22年4月に関西大学人間健康学部として生まれ変わることとなりました。

2、施策について

1)平成20年8月7日、堺市と関西大学は、地域の発展・活性化に向けて、教育研究の充実、大学の活性化を図るとともに、研究成果を地域に還元することを目的に基本協定を締結した。

2)協定に基づき、地域連携の積極的は推進を目的に、「地域連携協議会」を設置し、平成22年4月の人間健康学部(堺キャンパス)創設以来「堺市と関西大学との地域連携事業」を協力して実施している。

 この地域連携事業とは、総合大学である関西大学の特色を活かして、健康・福祉、産業振興、歴史・文化、環境など幅広い分野において、市民向け公開講座・セミナーをはじめ、幼児や児童を対象としたイベント、調査研究などを連携して実施している。

3、事業の効果について

「堺市と関西大学との地域連携事業」の実績(令和3年度)

・イベント等実施件数:年間約200件

・参加者数:延べ7,200名超

・協力学生数:延べ約800名

4、課題について

1)一定の生徒数でクラス運営をする高等学校は、教室仕様も統一されており、様々な形態の授業を展開している大学の授業を行うにあたって、開設当初は、授業内容と教室仕様がマッチせず、不便な授業もあったようである。

 堺キャンパス開設時に、大教室の不足を解消するため、大学負担で食堂・図書館・大教室を収容する4階の建物を建設し、以降も複数の教室をアクティブラーニング仕様の部屋や実験室に改修した。

2)部室棟とグラウンド跡地を利用しているが、敷地が狭いため、課題活動用のスペースを拡充することができない。

 関西大学では、メインとなる体育会・文化会活動を千里山キャンパスで行っており、人間健康学部のサークルのみが、敷地内の体育館や芝生、または学外施設を利用して活動している。

(2)視察所感

1、堺市と関西大学が交わした基本協定書によれば、土地建物の貸借は、平成22年4月1日から20年間無償貸与するものとする。ただし、貸与期間満了に際し、貸与期間を更新できるものとするとの協定が結ばれているが、20年の貸借期間は、継続的な大学の運営を維持するためには、如何にも短いように思われた。

2、堺市は大学誘致の公募を平成19年8月から始め、同年12月までに関西大学を含む4法人が応募した。それを、堺市の「大学等高等教育機関選定審査委員会」は審査会を開き、関西大学が優先交渉権者に決まったということであるが、その決定に至った理由を知りたいと思った。

【静岡県島田市】

(1)調査事項

 公共施設の跡地利用(Glamping&Port結(旧湯日小学校)について)

1、事業の背景について

 旧湯日小学校は、小規模校の教育環境のあり方に関する議論を経て令和元年8月に策定した「島田市立小中学校再編計画」により、令和3年3月に閉校することが決定された。

 これを受け、湯日地区の地域コミュニティの活性化や賑わいの創出、地域振興につながるような跡地利活用策について公募型プロポーザル方式により民間事業者から提案を求めたところ、グランピング施設を整備・運営する提案が採用され、定期建物賃貸借契約の締結を経て改修工事が行われ、令和4年3月に開業した。

 利活用策の検討に当たっては、利活用主体による費用負担を前提とし、地元から島田市そして民間という順序で利活用の可能性を探ったものの、地元及び庁内による利活用策が提案されなかったため、民間からの提案募集に至った。

 地元からは、閉校により地域が寂れることへの懸念が示されていたため、早期の事業化に向け閉校前の段階で、公募型プロポーザルの実施から事業者の選定までを行った。

2、施策について

 島田市は民間事業者が提案した事業の実施のために財産を有償で貸付け、民間事業者は自らの費用負担により施設の整備・運営を行うこととした。

 事業期間は事業者提案により20年とし、貸付けの期間を令和4年2月1日から令和24年1月31日までとする定期建物賃貸借契約(土地の貸付けに係る内容を含む)を、締結した。

 有償貸付けに係る賃料は、事業者提案に基づき鑑定評価額から減額することとし、市議会の議決も経ている。

 施設の設計・建設から運営に至るまで、島田市の関与は基本的にありません。観光や地域振興に関する施策上の必要に応じて情報発信などの支援をしている。

3、事業の効果について

歳出:学校運営に係るランニングコストの削減(令和元年6,529千円、令和2年10,437千円、令和3年はスクールバス運行管理経費に転換させることができた)

歳入:賃料(月額330千円=年額3,960千円)

4、課題について

・資産の保全に要する費用の負担に関する考え方の整理

・事業継続に向けた市の支援の在り方

・避難所開設時における運営事業者との調整

(2)視察所感

 あらためて、公共施設の跡地利用の難しさを認識した。それでも、地域経済の活性化とともに取り組むべきものである。

【神奈川県湯河原町】

(1)調査事項

 ふるさと納税自動販売機について

1、導入経緯

 今までふるさと納税は、インターネットから寄附を申込み、寄附後1か月前後で返礼品が手元に届くという流れであった。

 それに対して、実際に湯河原町を訪れた方が、湯河原に来てよかった、ふるさと納税で応援したいという気持ちがあってもその場ですぐに寄附できる環境は、なかった。そこで、その場で寄附をしてその返礼をその場で利用いただける仕組みがつくれないか、ということで導入した。

2、導入時期

 ふるさと納税自動販売機は、令和2年12月に全国ではじめて、湯河原カンツリー倶楽部に設置した。

 その後、タブレット型のふるさと納税自動販売機を令和3年12月に、万葉公園玄関テラスに設置した。

3、取扱い返礼品

 ふるさと納税自動販売機:ゴルフカード

 ふるさと納税自動販売機(タブレット型):惣湯テラス利用券

4、実績

令和2年度:寄附額7,720,000円(176件)

令和3年度:寄附額10,165,000円(159件)

5、自販機利用の流れ

1)自販機へ、寄附に関する個人情報を入力(タッチパネル式)

※身分証明書の読み取りにより入力の省略が可能

2)クレジットカード情報を入力して決済(現在はクレジット決済のみで運用中)

3)決済完了後自販機から出たレシートを受付へ渡し、その場で返礼品を受け取る。従って返礼品を、当日のプレーから使用できる。

4)後日、郵送にて寄付金受領証明書を送付

5、湯河原町での運用方法

 ふるさと納税自動販売機で申し込まれた寄附は、専用の管理システムで寄付者情報等の詳細が確認可能になる。

 自動販売機管理システム内の寄附者情報はcsvデータをダウンロードし、エッグ社のふるさと納税システムへ手動で取り込むことで湯河原町への寄附者情報を一元管理している。

(2)視察所感

 ふるさと納税を自動販売機で募るのはユニークなことで、町田市も導入すべきと考えた。

【神奈川県南足柄市】

(1)旧北足柄中学校の跡地の利活用について

1、事業の背景について

 北足柄地区の少子化の影響を受け、北足柄中学校は平成22年度から南足柄中学校と統合するため、平成22年3月に廃校することになったが、廃校後は、施設を活用して地域の活性化につなげてほしいと地元住民から要望がなされてきた。

その際の課題は、次のとおりである。

1)施設の老朽化

2)都市計画法(市街地調整区域)による土地利用の規制

3)神奈川県土地利用調整条例による規制

4)地元住民の要望(既存施設を利用すること)

5)地域の活性化につなげる

「北足柄中学校活用事業までの経過」

平成21年6月 地区住民に対して事前説明会を開催し、検討内容を報告し、意見聴取

※主な意見として、介護施設、宿泊施設、学習施設、運動施設などへの利活用を提案する意見が挙げられ、それを受けて、さらに検討を加える。

平成22年3月 北足柄中学校廃校により、同中学校は行政財産から普通財産に移行した。

平成22年6月 地区の3自治会長等と南足柄市が「北足柄中学校跡地利用検討会」を設置

※住民の意見を聴きながら、具体的な利活用の検討(平成23~24年度は宿泊可能な生涯学習施設の検討、平成25年度は人工芝化した多目的グラウンドの一体的な利活用を求める意見や、費用対効果等に課題あり。

平成26年3月 改めて検討をし直すこととし、その旨を住民にお知らせした。

※その後は、普通財産として施設を管理。グラウンドの無料開放、テレビ等のロケ地、市民団体によるアートイベントの開催などで利活用。また、文部科学省のウェブサイトの「みんなの廃校プロジェクト」に掲載し、ご覧になった事業者等から、利用したい旨の問い合わせがあったが、都市計画法等の課題が解決せず、具体的な活用には至らなかった。

(2)旧北足柄中学校活用事業の実施

 令和2年11月に改めて、「旧北足柄中学校活用事業」として、地域社会の活性化に結びつく事業を公募した。その結果、7事業者等から応募があり、地元自治会の代表者にも参加いただいた選定委員会を経て、令和3年2月に第一優先交渉者として「株式会社運動会屋」に決定した。

(3)神奈川県との協議内容

1)グラウンドの利活用について

 南足柄市としては、地域住民が望む校舎・グラウンドの一体的な利活用を進めていく方針であったが、(株)運動会屋は、すぐにでもグラウンドをキャンプ場として利活用したいとの意向が強かった。このため、県土木事務所と協議し、「開発行為にあたる、建物の建築や切土や盛土を行わなければ利用可能」との条件のもと、令和3年4月30日に(株)運動会屋と土地賃貸借契約を締結し、同年5月から、キャンプ場として事業を開始した。

2)県土地利用調整条例においては、市街化調整区域における1ヘクタール以上の土地の開発つついては、県知事との協議が必要であり、旧北足柄中学校の敷地は、13,655㎡である。このうち、グラウンドの7,176㎡については、(株)運動会屋に賃貸借している。

 一方、校舎・体育館の敷地6,479㎡については、市が公共施設として設置条例を制定し、地域の活性化のために活用していくことを目指すこととした。

 この場合、グラウンドについては(株)運動会屋が、校舎・体育館は市が実施主体となり、それぞれの敷地は、1ヘクタール未満になることから、令和3年6月下旬に、県に対して見解を伺った。その結果、翌月7月に、「土地利用調整条例の手続きは不要と考えられる」との回答を得た。ただし、校舎・体育館とグラウンドが、それぞれの付帯施設として利用されるなどの一体的な利用は、1ヘクタール以上の開発行為にあたり条例の手続きが必要になる、と付け加えられる。

 そこで、キャンプ場と校舎・体育館等を区別するため、キャンプ場への出入口を新たに設けるとともに、境界杭等を設置し、双方の敷地を分割した。

3)校舎・体育館の利活用について

 校舎・体育館については、都市計画法による課題が残っていたが、県土木事務所と協議した結果、令和3年6月上旬に、都市計画法による許認可手続きに関し、「校舎等を利活用するためには、内山地区にその施設が必要な理由を明確にしたうえで、公共施設として条例設置するなどの条件を満たせば、法の適用除外となる」旨の見解が示された。

(4)事業の効果について

1)地元住民の雇用

 地域の方を雇用し、地域の魅力・歴史に知見の深いスタッフを配置することで、来場者に地域の魅力を紹介できる。

2)地域の事業者等との連携

・地域交流拠点mado(近隣コワーキングスペース)と連携し、南足柄産木材を使用した工作実験を実施。

・地域農産物及び手芸品等の販売

・市内狩猟団体と連携し、狩猟体験及びジビエ料理体験の実施

・地域住民による同窓会としての施設利用

(5)課題について

1)施設の老朽化対策

 施設の開所に向けて消防・防災設備等を中心に最低限の施設・設備の修繕を行ったが、消防設備の更新、雨漏り対策など、今後も計画的に実施する必要がある。

2)施設の有効活用

 キャンプ場の認知度は上がっているが、北中の利用者増加に結びついていない。特に、地元住民の利用がほとんどないことから、指定管理者が行う自主事業に工夫が必要である。

(2)視察所感

 あらためて、公共施設の跡地利用の難しさを認識した。それでも、地域経済の活性化とともに取り組むべきものである。