町田市議会議員 会派「自由民主党」/(一社)落語協会 真打 三遊亭らん丈【公式ウェブサイト】

三遊亭 らん丈

2022年 自由民主党会派 行政視察報告書議員活動

2022.12.04(日)

10月11日 北海道札幌市、視察項目【 札幌市中央図書館について 】

1、札幌市中央図書館デジタルライブラリーについて

1)電子図書館導入の経緯

 札幌市は、平成24年に策定した「第2次札幌市図書館ビジョン」に基づいて、新しい図書館電算システムを平成26年4月から稼働し、時代に即した市民サービスのより一層の充実を図った。その一環として、「電子媒体による情報提供」(電子サービス)を推進するため、「電子書籍」を導入した。

2)サービスの開始まで

 平成23年度から、電子図書館サービスの実証実験を開始した。その際、市民モニターのうち、7割以上の市民が同サービスの導入に賛成した。

 平成24年度には、電子図書館サービスの本格実施を想定した実証実験をおこなった。

 平成25年度には、札幌市図書館システムを再構築し、図書館システムと電子図書館との連携機能を開発した。

3)サービス開始

 平成26年10月から電子図書館サービスを開始したが、館内閲覧展示のみ同年4月から先行してサービスを開始した。

 電子図書館開設に係る費用は、システム構築費としては、図書館システム改修費用に含まれるため、単体での算出は不可能である。コンテンツ購入費用は8,570千円で、2,378コンテンツを購入した。

4)電子図書館の利用状況

 貸出冊数は、同サービスを始めた平成26年度は26,764冊であり、翌年度は23,339冊に減少するものの、平成28年度からは右肩上がりに増え続けている。これは、令和2年度からコロナ禍が蔓延したため図書館に行く利用者が減少しているため電子図書館を利用するニーズが増えていることもあるが、それ以前から貸出冊数は、順調に増えている。

 興味深いのは、30歳代、40歳代、50歳代のいずれにおいても、男女別貸出冊数では、女性の方が男性よりも格段に多いことである。それが、65歳以上になると、男性の方が女性よりも多くなる。

 電子書籍の閲覧件数は、平成26年度の翌年度において貸出冊数とおなじように若干減少はするものの、平成28年度からこれも貸出冊数とおなじように、右肩上がりに増えている。

5)電子書籍のメリットとデメリット

1.メリット

・便利→24時間利用可、来館不要、手続きが簡単。

・紛失、汚損、返却遅延の心配をしなくてもよい。

・書架スペースを必要としない。

2.デメリット

・資料の見やすさが、手持ちのデバイスに左右される。

・資料の単価が紙媒体の約3倍におよぶため、購入できる種類が少なくなってしまう。

・書籍の有効期限が2年間と定められているものが多く、人気のあるものは予約していても借りることが出来ずにその期限を迎えてしまうものがある。

2、「池田コレクション」について

1)寄贈された経緯

 昭和48年に、札幌市に在住していた池田さんから、このコレクションを所有されていた方が亡くなられたということで、明治末期・大正期の絵本・絵雑誌資料群342点を一括して寄贈された。

 そのコレクションは、保存状況がよく、当時の子どもたちが関心をもっていた事柄が鮮やかな色彩の中に表現されている。

 平成21年には、図書館で展示会と講演会を実施している。

2)デジタル化にあたっての留意事項

平成28年11月に、絵本に特化したえほん図書館を開館した。

 同館の運営計画の中で、戦前・戦後における絵本関連資料の収集、デジタル化に言及していた。ただ、デジタル化して電子図書館に池田コレクションを掲載するには、著作権の関係で著作権者から承諾を得ないといけない。

 そこで、著作権調査を業務委託して実施した結果、平成29年に承諾を得られた71点を電子図書館に掲載した。

3)池田コレクションの公開環境

1.公開開始日は、平成30年3月28日

2.公開資料の例

ア 絵本『猫のたのしみ』1915年に発行されたもので、たくさんの猫が擬人化されて描かれている。

イ 絵雑誌『チルドレン』(第3巻第5号)1919年に発行されたもので、彩色豊かな記事が数々あり、折り込まれた頁を開く仕掛けや、クイズなど、随所に工夫が凝らされている。

3、札幌市史のデジタル化について

1)デジタル化導入の経緯、業者の選定理由

 一般社団法人北海道デジタル出版推進協会(HOPPA)から、札幌市の図書館事業に活用することを目的として、札幌市刊行の「新札幌市史」全10巻をデジタル化したデータとして寄贈する旨の申し出があった。

2)発刊した巻数、編纂した年度

 全10巻。昭和56年から編纂作業を開始し、昭和61年から平成20年にわたって刊行された。

3)デジタル化した巻数、公開した年度

 全10巻。令和元年度に公開した。

4)導入経費

初期費用は、HOPPAから寄贈を受けたものであるため、0円であった。運用経費は、ADEAC利用料として月額22,000円(税込み)年間264,000円(税込み)

4、所感

1.札幌市は電子図書館を平成26年から稼働していることから、あらためて、札幌市立図書館のデジタル化における先進性に注目した。

 また、30歳代、40歳代、50歳代のいずれにおいても、男女別貸出冊数では、女性の方が男性よりも格段に多いことは、クックパッドを女性が利用していることもあるだろうが、それにしても男女で顕著な違いがあることに驚いた。

2. 昭和48年に、札幌市に在住していた池田さんから、このコレクションを所有されていた方が亡くなられたということで、明治末期・大正期の絵本・絵雑誌資料群342点を一括して寄贈されたということだが、このような僥倖に恵まれることに、札幌市図書館を羨ましく思ったものです。 3. 『新札幌市史』全10巻が、北海道デジタル出版推進協会からデジタル化されたデータとして寄贈された経緯を羨ましく思うと同時に、その真因を知りたいと思いました。