町田市議会議員 会派「自由民主党」/(一社)落語協会 真打 三遊亭らん丈【公式ウェブサイト】

三遊亭 らん丈

俳句 記事一覧俳句

『季刊芙蓉』第64号・2005年夏

2005.07.01(金)

初雪やいつもの街路染め上げて
元旦に思わず探す富士の山
二度鳴る目覚まし憎し冬暁
新しき手帳にも慣れ春隣(★)
陽は天頂飛魚に手を出しそうに
ない筈の章魚の骨噛む夢を見て
屈伸運動の消防署員に春疾風
聖夜に受くホスチアの味あらたし

(ホスチア([ラ]hostia)は、カトリックのミサで、聖別される前の小麦粉で作られた種なしパンのこと)

『季刊芙蓉』第63号・2005年春

2005.04.01(金)

音出して引く電子辞書そぞろ寒
秋の夜広辞苑のカバーを剥く
老いても手を繋ぎ鰯雲見遣る
強風にわずかに揺れる葱坊主
病院を脱け早慶戦を見る秋
肩書のない潔き名刺冴え(★)
図書館で本延滞し知る師走
道端に枯菊となり供えられ

『季刊芙蓉』第62号・2004年冬

2004.12.01(水)

ママをお母さんに変えた夏休み
シャツのボタン二つ外す油照り
着ないのに捨て難いランニングシャツ
かなかなに急かされ机に向かいても
夏終わる帽子失くすも買わぬまま
夜食摂りつつ聴くグレン・グールド
先ず学歴を問う人がいて秋暑し
新しき辞書にも馴れて長き夜(★)

『季刊芙蓉』第61号・2004年秋

2004.10.01(金)

石を蹴りながら帰る新入生
クレープを二人で食べて春うらら
バスケットの中の猫見つむる春の日
薫風に押されて向かう初打席
誤解から始まる恋や夏嵐
似合わないのに買ってしまうサングラス(★)
ふと時計の音が気になる短夜

『季刊芙蓉』第60号・2004年夏

2004.07.01(木)

楽章の合間まで持ち越せし咳
いつまでも眼で追いしひとがいて秋
フォークの背に御飯乗せ一葉忌(★)
冬の夜御飯に卵落としけり
元旦に遭うウォーキングの夫婦
余りにも長く拝んでいる初詣(★)
靴音を聞き分けられて春の夜
手袋で頁繰る間がもどかしく

『季刊芙蓉』第58号・2003年冬

2003.12.01(月)

振り返り繰り返し見る夏の蝶
兄のオーデコロン借りて初デート(★)
浴衣着る「前はどっち」といつも訊き
醜男にも同じように夏は来る
投函に走る颱風の眼の中を
新涼の朝革靴を磨きあげ
大臣来る街頭演説去ぬ燕
起き上がりささくれを剥く秋の夜

『季刊芙蓉』第57号・2003年秋

2003.10.01(水)

お姫さまのような子を見つけた春
新しき帽子を被り夏に入る
失せものを探して春の一日暮れ
飽くまでも長い脚持て余す夏至
春光や神父の按手未信徒に(★)
青嵐帽子抑える手は軽く
刃当てながらためらいつつ切る鰹

『季刊芙蓉』第56号・2003年夏

2003.07.01(火)

春立つやこむら返りで眼を醒まし
堂々として棒読みの聖夜劇(★)
死ぬわけじゃなしと云いたり受験生
サンドイッチ噛む音軽く行く春野
上出来の恋文を手に町うらら
ネクタイにすぐ手をやる新入生
ラーメンの湯気にとけ入る余寒かな
春の朝肩寄せ合い行く浜辺

『季刊芙蓉』第55号・2003年春

2003.04.01(火)

十月の蝉も同じように鳴く
豪快に嵐従え志ん朝忌
教会を目指して歩む秋うらら(★)
ふと月を確かめ本に戻りけり
治らなくても好い新婚の風邪っ引き
「きみ」をやめ名前で呼んで秋うらら
凩に引き戻るわけおっつけて 
食べたくないせんべいかじる冬至

『季刊芙蓉』第54号・2002年冬

2002.12.01(日)

野分でさえ風はいつも横に吹く
炎昼の鼓膜を揺るがす泣き声
夏衣に覗く静脈見つめつつ
人殺すほどの日差しや圓朝忌(★)
鳩したがえて片蔭の動きおり
終戦日ATMで出金す
箱庭に恋う人入れて完成す
戸袋の蜘蛛の巣払い引く雨戸