町田市議会議員 会派「自由民主党」/(一社)落語協会 真打 三遊亭らん丈【公式ウェブサイト】

三遊亭 らん丈

早稲田大学 社会科学部 ゼミナールⅠ「地方自治と行政」『新聞について』大学での活動

2005.05.01(日)

箇所:早稲田大学 社会科学部専門科目
科目:ゼミナールⅠ《専門的学習への導入》
テーマ:「地方自治と行政」

関連科目:行政法(行政争訟法)、行政学
開講学期[単位数]:2005年度 通年[4単位]{履修定員15名}
担当:大久保 皓生 教授(中央学院大学 法学部)
テキスト:『基礎演習Ⅰテキスト』2005年度版 (中央学院大学法学部 発行)

[1]「新聞」とは
・『日本国語大辞典 第2版』(小学館):新聞(新聞紙の略)
⇒広い読者に時事に関する報道、解説を中心に、知識、娯楽、広告などを掲載伝達する定期刊行物。なお、文久2年(1862)1月に発行された「官板バタビヤ新聞」がわが国の最初のものという。下段⇒に続く

・「官板バタビヤ新聞」とは。『新聞学』【第3版】(日本評論社1995年、p.36)
 これはバタビヤのオランダ政庁から幕府に献上された同庁の週刊機関紙『ヤバッシェ・クーラント』(Javasche Courant)から世界各国のニュースを洋書調所において抄訳したもの。Javaとは、Jakarta(Djakarta) があるインドネシアの主島。Courantとは、「ある期間に起こった出来事」という意味。

 幕府は鎖国下においても長崎のオランダ商館から年一回提出させたニュース集成である『阿蘭陀風説書』をもっていたが、閲覧は老中などの幕閣要職者に限定されており、かつこれが活用された形跡もない。しかし、黒船の来航と開国論議は幕府内外において海外ニュースの需要を大幅に増大させ、「官板バタビヤ新聞」の発行を招来させた。
 以後、幕府は香港・上海などで外人宣教師が発行していた新聞からニュースを翻訳し、「官板中外新報」、「官板香港新聞」などを発行した。

・バタビヤとは
 Bataviaの謂い。インドネシアのJakarta(勝利の町)を訛ってヨーロッパ人はジャガタラと呼んだが、1621年オランダ総督によってバタビヤと改称させられた。1945年、独立とともに旧名に還る。

⇒現存するなかで最古の新聞は、慶長20年(1615)大坂夏の陣の際に発行された「大坂安部之合戦之図」と「大坂卯年図」であるといわれる。

・newspaperが「新聞」と訳された理由
 新聞の原型は、江戸時代の瓦版。
 売り子が街頭を売り歩いた。読み売り。読んだから、聞いた。つまり、新しく聞くから、「新聞」。
 その証拠に、新聞を黙読するようになったのは、戦後。それまでは、音読する人が珍しくはなかった。
 e.g.夏目漱石は朝日新聞社と契約を交わし、多くの新聞小説を書いたが、それは音読されることを前提に書かれた。
・『日本国語大辞典 第2版』(小学館):瓦版
⇒江戸時代、種々の事件を木版で印刷し、市中を売り歩いた一枚刷りの出版物。心中、仇討ち、刑死、火事などの新奇な事件を街頭で読み売りした。読み売り。⇒読売新聞:現在世界最大の発行部数を誇る日刊紙 2001年1月1,031万31部。米欧では、これほどの大部数発行の全国紙がない。
e.g.米国最大部数の“The Wall Street Journal”でさえ、1,818,562部(1994年)
 中央集権化とともに、新聞も全国紙が出現。

・「日本の新聞と外国の新聞の制度的違い」『新聞学』【第3版】(日本評論社1995年、pp.220〜221)
 日本の新聞は、狭い国土と民族の同質性、高いリテラシーを国民所得、さらには政治の中央集権的性格を反映して、発行部数(5,193万部)、普及率(人口千人当たり582部)がともに高い新聞大国である。『朝日新聞』(1879年創刊、825万部)、『読売新聞』(1874年創刊、980万部)、『毎日新聞』(1872年創刊、403万部)、『日本経済新聞』(1876年創刊、173万部)、『産経新聞』(1933年創刊、200万部)の5大全国紙は、総発行部数の半分以上を独占している(1994年、『日本新聞年鑑』)。全国紙とブロック紙(国際的に見れば、地域紙)、県紙(地方紙)の併存は、イギリスの新聞産業と似ているが、イギリスほど地域紙や地方紙は弱体ではない。

 憲法による言論の自由の保障、新聞法の不在、集中・独占に関する一般法規制に服すべきこと、などはアングロ・アメリカンのジャーナリズムの流れに位置することを示している。しかし現実をみると、英米とは異なる発展の様相が見られるので、その点を若干考えてみよう。

 まず、世界的にみて日本の新聞が独特なのは、朝刊、夕刊、日曜版を同一の実体が発行(セット制=過重労働になりかねないが、従業員数の比類なき多さによってカバーされる)していることである。英米では、それぞれの単刊が一般的で、同一社それぞれを発行する場合も、編集は別組織というのが一般的である。さらに英米では、いくつかの地方版やゾーン版を出している新聞もあるが、百を越える全国紙の地方版は、国際的にみても想像を絶する刊行形態である。また5大全国紙が英米の高級紙並みの質を維持しつつ、大衆紙なみあるいはそれ以上の発行部数を持っていることも驚嘆に値する。

 因みに三大新聞は、何れも定期購読料が月間3,925円で統一されており、独占禁止法違反のおそれあり。
 それが証拠に、死亡記事は三大新聞でも原稿料が異なる。

 そもそも新聞購読料が三大新聞の場合、3,925円で納まるのは、広告収入があるおかげ。
1993年現在、総収入に占める広告収入の割合は33.4%。この比率は、他国に比べ低い依存率ではあるが、30%を越えている。

・日本では、新聞に関して古くからこういう言い方をする。
 「インテリが作って、ヤクザが売る。」(映画『社葬』監督舛田利雄、脚本松田寛夫1989年東映製作)

・高級紙と大衆紙
 quality newspaperとpopular newspaper、tabloid=e.g.The Sun←page three girl3ページにヌードが掲載される意。

 英国の4大高級紙The Independent、The Times、The Guardian、The Daily Telegraph
 加えて、The Financial Times
 英国は階級社会なので、階層によって読む新聞が異なる。
 cf.ヴィトンのバッグの底に鋲はない

・日本における高級紙と大衆紙の区別
 日本経済新聞は経済分野に特化している憾みはあるものの、日本唯一の高級紙というのが共通した認識。
 cf.社会科学者の心の中には、社会の全体を自らの理論によって包括的に解き明かしたいという尽きせぬ欲望が渦巻いている。(中西寛;京大教授)
 【高級紙】metaphysicalなものへの憧憬
 【大衆紙】情動に訴える、無責任な体制批判

[2]新聞学から新聞をみると
・現在、新聞学科があるのは、上智大学文学部と日本大学法学部のみ。以前は、早稲田大学政治経済学部にもあった。

・新聞によって最も異なる紙面は社説
 今でこそ読売新聞は、産経新聞と並んで、保守主義を代表する紙面構成だが、以前はリベラルな論調だった。
 産経新聞は、論調がconservativeなために、日付が元号を主に標記されており、西暦年は従扱い。

 5月3日憲法記念日における特集記事で取り上げる人選からも、新聞各紙によってその特徴が出ている。
 e.g.朝日新聞5月3日-5日「憲法総点検インタビュー」
(3日)樋口陽一(東大名誉教授)、(4日)伊勢崎賢治(立大大学院教授)、キャロル・グラック(米コロンビア大教授)、(5日)山崎正和(劇作家・東亜大学長、阪大名誉教授)
 読売新聞5月3日「憲法座談会」
出席者:中山太郎(衆院憲法調査会長・元外相)、大石眞(京大教授)、御厨貴(東大教授)

新聞は不偏不党の前提にたって≪各新聞社説にみるイデオロギー的配置≫『新聞学』p.338
liberalism           中立            conservative(保守主義)
朝日新聞  毎日新聞 東京新聞   ※日本経済新聞     読売新聞  産経新聞※『日経』は全体として保守主義寄りであるものの、経済合理主義の立場から是々非々の政府批判の姿勢をとっている

e.g.2005年4月1日。イラクに派遣されていた海兵隊のヘリコプター約20機が普天間飛行場などに帰還した。
 基地内への取材が許されたのは、米軍の準機関紙のほか、日本のメディアでは共同通信、産経新聞、読売新聞、NHK、琉球放送の5社のみ。
 県政記者クラブ加盟社(15社)の3分の1のみ。
 米海兵隊からは、「我々とプロフェッショナルな関係を築き、公平でバランスの取れた報道をしていると評価されているところを招待した」とのコメント。

[3]その他
・記事を発表までに要する時間と、その記事の命数には相関関係がある
 原則として新聞は毎日発行するので、その発行に要する時間は1日。従って、その命数も1日。週刊誌は1週間。月刊誌は1箇月。テレビは一瞬。

・投書欄について
 各新聞は読者による投稿欄を設けている(e.g.朝日新聞においては「声」欄)が、そこに掲載される記事は、その新聞のオピニオンが反映されたものとなっていることが普通。
 それは、その新聞を購読している読者がその新聞の主張に共感を抱いているからその新聞を購読するという考え方と、新聞社が自社の主張に与する意見のみを掲載する=自説の流布を投書欄に求めている場合の二通りが、考えられる。

・日英における投書欄の違い
 英国の投書には、住所と姓名があるだけだが、日本には年齢と職業が必ず載る。これは投書欄に限らず、他の記事でも同じ。
 日本の投書欄には自己身辺に材を取った感想文が多いが、英国は紙面の記事をきっかけにして、対話し論証しようとする。したがって、「編集長への手紙」という題が多く見られる。

参考文献:稲葉三千男・新井直之・桂敬一編『新聞学』【第3版】(1995年、日本評論社)