町田市議会議員 会派「自由民主党」/(一社)落語協会 真打 三遊亭らん丈【公式ウェブサイト】

三遊亭 らん丈

『立教大学経済学部 山口義行教授主宰の政策工房J-Wayの研究会に参加して』大学での活動

2002.12.10(火)

【テーマ】企業再生・産業再生と政策投資銀行
【報告者】石井義春氏〈日本政策投資銀行勤務〉
【会場】国会記者会館4階第4会議室
【討論】不良債権処理が行き詰まる中、企業再生・産業再生が注目をあびてきています。その際、常に話題に上るのが日本政策投資銀行の存在。今回は、同行の石井氏に 来ていただき、政府系金融機関の今後のあり方も含めて、昨今の論議を整理していただき、皆さんで活発に議論したいとおもいます。 

 ぼくが2000年度に、母校立教の経済学部に編入学したのは、HPのプロフィールにもあるとおりですが、その際、今やマスコミの寵児として、竹中金融・経済担当相に対する反論を展開する、山口義行先生の「金融論」を受講しました。山口先生には、その後、らん丈独演会「どうしまショウ」にもゲスト出演していただき(その模様は立教大のHPにアップされていますから、https://www.rikkyo.ne.jp/~koho/univ_data/topics/ranjo.htmをご覧ください)、ぼくが立教を卒業してからも、山口先生には、なにかと御世話になっているのです。

 山口先生は大学内での活動にとどまることなく、自ら政策集団=「政策工房J-Way」を主宰し、「金融アセスメント法」を制定すべく、精力的に講演活動をし、そのかたわらマスコミにも頻繁に登場しています。

 マスコミの活躍と記しましたが、山口先生は岩波書店の月刊誌『世界』から『日刊ゲンダイ』にいたる幅広い執筆活動を繰り広げ、今年はくわえて『誰のための金融再生か』(ちくま新書)を刊行し、その書評で、同じく立教経済学部の小西一雄教授がいみじくも記すように”旬の人”として、「ニュースアイ」(テレビ東京)「ほね・ホネ・本音」(BSジャパン)にレギュラー出演をし、そのコメンテーターとして茶の間に、「不良債権処理をいたずらに急がず、まず大事なのは政府が率先して新規の産業分野を創出し、経済を活性化させることにある」と、説いています。

 不良債権処理とは、その語感から、あたかも経済を活性化させることに役立つような印象を与えますから、積極的に推し進めることが、好いことであるかのような錯覚を与えがちですが、実態はまるで逆さまで、不良債権処理を進めれば進めるほど、銀行は需要のある企業へ資金を貸し出すことが出来なくなり、それどころか自己資本比率規制を満たすために、かえって、貸し出しを控えざるを得なくなり、それどころか貸し渋りや、貸し剥がしにおよび、まわるべきおカネが一向にまわらず、一層不況が悪化してしまうという、隘路に入り込んでしまうのです。

 さて、その山口先生が代表を勤める「政策工房J-Way」の研究会に、初めて参加したのです。今回のテーマは、山口先生からいただいたメールを冒頭に転記したとおりです。

 ちなみに、報告者の石井吉春氏が勤務する日本政策投資銀行とは、日本開発銀行と北海道東北開発公庫が統合され、1999年に発足した、いわゆる政府系金融機関です。

 政府系金融機関に、12月8日付朝日新聞の「経済漂流」をもとに言及すれば、今年の8月、改革論議を託された経済財政諮問会議で、小泉首相はこう言ったのです。「政府系機関の総裁や理事長は事務次官経験者の指定席でしょ。なくすという発想が役所から出てくるはずがない」

 内閣府関係者は「あのころまでは整理・縮小路線だった。内部では、すべての政府系金融機関を所管官庁からもぎ取り、統廃合を前提に首相直属とする案も検討された」そうです。
 ところが、9月末の「竹中ショック」と直後の株価急落で、状況は一変してしまうのです。10月の諮問会議では財務省と経産省は政府系金融機関の積極活用を訴え、それが受け入れられ、12月5日の会議では、統廃合を08年以降に先送りする方針が固まったのです。

 つまり、あまりに脆弱な日本の民間金融機関では、その用を充分に果たすことが出来ず、企業が頼りとしたのが、政府系金融機関なのです。
 学習院大学経済学部の奥村洋彦教授は「個人金融資産1400兆円のうち600兆円が(郵貯、簡易保険、国債購入を通じておカネが国の管理下に入る)流れの中にある。だが、膨大な資金の運用成績は十分開示されず、責任の所在も不明確。社会主義的な公的金融を放置したままでは、民間金融は立て直せない」と指摘します。

 しかし、ここでむしろ重視しなければならないのは、今日を生き、明日も行く抜くために、日本の民間企業が政府系金融機関に頼らざるを得ない惨状を呈する、日本の民間金融機関の現状ではないでしょうか。
 日本政策投資銀行は、ダイエーやエア・ドゥ、新潟鉄工所の再建支援を、前向きに進めていますが、いたずらに企業の淘汰を進めるべきではないと、ぼくは思うのです。

 たしかに、市場から撤退しなければならない企業はあるでしょうが、撤退させるのならば、新たな産業基盤整備をまず政府が行い、雇用の受け入れ先をつくらなくては、失業者を野放図に増やすだけで、政府はその役割を果たしているとは、言いがたいのです。未曾有の不況に見舞われている今こそ、政府はその存在意義が問われているのです。