町田市議会議員 会派「自由民主党」/(一社)落語協会 真打 三遊亭らん丈【公式ウェブサイト】

三遊亭 らん丈

「民族芸能」vol.115らん丈の、我ら落語家群像

2004.10.01(金)

 今月は、五年に一度実施される国勢調査の月に当たります。

 都会を中心に核家族化が進んだ結果、アパートやマンションの住民が増えたためもあって、たしかに以前に較べれば、国勢調査員の方々のご苦労は、格段に増したことは容易に理解できます。ですから、報酬をもらってもそれでは低額すぎて割に合わないと、なかなか引き受け手がいないのが、近年指摘されている国勢調査の問題のようです。

 だからといってなにも、国勢調査員が協力してくれない住民の多さに業を煮やし(プッツンして)、調査票を燃やすことはないでしょう。これは、茨城県坂東市で実際にあったことですし、不祥事はなにもこの事件ばかりではなく、全国に頻発したのは、みなさま御存じのとおりです。

 たしか、前回の国勢調査では、学歴欄があったはずですが、さすがに今回は、その項目はありませんでした。

 中央政府が、国民の学歴を把握しなければならない理由は、どこにもないからです。

 今回の調査でも、おかしな箇所があります。たとえば、”配偶者の有無”の欄で「死別と離別」を訊く項目があるのですが、これは、大きなお世話というものです。

 ”一週間に仕事をした時間”を記す欄があるのですが、これには、困りました。

 この設問は、お勤めをされている方を前提としたものですね。そういう方々の法定労働時間は、週四十時間なのですが、我われ落語家で週四十時間、つまり、毎日落語を語るとして、五時間以上もの間、落語を語るのは、大変なことです。やるのも、聞くのも。

 この間、毎日、寄席の高座に上がっても、一席がたいてい、十五〜二十分ですから、週二時間、ということになって、いやはやなんとも恥ずかしい。けれど、それが実態です。

 これはなにも、落語家に限りません。

 プロ野球で、控えの選手は、どうなるのでしょう。あるいは、代打専門の選手は、一週間で総労働時間が十分の場合、三十分未満は切り捨てですから、0時間。

 今回の調査では、九月二四日から三十日の間の一週間に労働した時間ですから、本場所がなかった、お相撲さんはどうなるのでしょうか。稽古はもちろん、その間もしたのでしょうが、稽古は「実際に仕事をした時間」とは、言いかねるような気がします。

 もっと困るのは、”本人の仕事の内容”です。たとえば、風俗関係の方々の場合、どのように回答されたのでしょうか。

 とても興味深いものがあります。

 接客業務、とでも記したのでしょうか。

 けれど調査票には、「実際にしている主な仕事の内容をくわしく書いてください」と書いてありますから、もっと、詳しく書かないと、許してはくれないような気がします。