町田市議会議員 会派「自由民主党」/(一社)落語協会 真打 三遊亭らん丈【公式ウェブサイト】

三遊亭 らん丈

「民族芸能」vol.111らん丈の、我ら落語家群像

2004.06.01(火)

 地元にある教育関係のNPOに登録しているせいか、このところ、学校、それも小学校で、落語を口演する機会が増えました。

 まして、NHK教育テレビで放送されている「にほんごであそぼ」で、『寿限無』がブレイクしたせいか、落語に興味をもつ児童が以前よりも確実に増えている、という事情もあります。

 それ以前から、「学校寄席」と銘打っての学校公演が結構頻繁にあり、学校で落語を行うこと自体は、落語家にとってごく普通のことなのですが、最近は、児童とともに父母の方々も、ともに鑑賞する機会が、めっきり増えているのです。

 学校で公演を行う際は、たいていの場合、落語を聞いていただく前に、まず落語の解説を行い、落語に親近感をもっていただいてから、落語を始めるというのが通常の公演形態です。

 先日の小学校でも、そのようにして公演を済ました後、そこで採ったアンケートを読む機会がありました。

 すると面白いことに、落語はもちろんのこと、むしろ、解説のほうに興味をそそられた、という意見が少なからずあったのです。

 なるほど、たしかに父母とはいっても、小学生の親御さんならば、大雑把にいって四十歳ほどでしょう、そうなると、親御さんでも、実際に落語を聞くのは初めて、という方が大半なのです。

 ならば、落語を見聞し、その解説をきいて初めて落語というものは、こういうものなのか、と得心するのも、ごく当然のことなのです。

 ぼくは落語家なので落語を知っているのは当たり前のことですが、では、日本人なのだから、能や狂言を詳しく説明してくれと、外人さんに尋ねられたら、もうお手上げです。

 ただ、落語の弁護をするのならば、落語は能狂言と違って、江戸時代以降今日に至るまで一貫して、大衆芸能だった、という事実を挙げたいのです。

 そこが、大名の庇護を受けて存続した能楽と落語との違いです。
 ただこのように、四十歳になっても落語を知らない世代がこれだけ増えると、果たして、大衆芸能としての落語の行く末はどうなるのだろうという、いささかならぬ不安がきざしてしまったのです。

 そうなると欲しいのが、人気者です。

 そんな折、こぶ平師の、九代林家正蔵襲名披露興行がいよいよ、三月下席から上野鈴本演芸場を皮切りに、始まります。

 二一世紀の初頭を飾るに相応しい、落語界の大イベントとなることは、請け合いです。

 落語の面白さ、素晴らしさを未経験の方には、特にお奨めします。決して、期待が裏切られることはないものと、確信しています。