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本書は、城山三郎の晩年ともいえる2001年、『小説新潮』の5月号から8月号に連載した、「花びらの幸福−青年指揮官たちの特攻」に、大幅加筆したドキュメント・ノベルです。
そこでは、海軍兵学校の同期生だった、特攻隊第1号、関行男大尉と最後の特攻隊員、中津留達雄大尉が対比して描かれています。
その中で、さまざまな特攻兵器が紹介されていましたが、「伏龍」には参りました。
それは、「機雷を棒の先につけて持ち、潜水服を着て、海底に縦横50メートル間隔で配置される。(改行)敵艦船が来たら、その棒を敵艦の艦底に突き上げて、爆発させる。(改行)もちろん、当人も、周辺に配置された隊員たちの命も、一挙に吹っとぶ。」
このような兵器を使用した帝国海軍とは、どのような組織なのか。
これを法学的に考えれば、帝国海軍は、法実証主義の考えにあったといえます。つまり、戦術として成立すれば、特攻隊といえども、自軍の兵士がいくら死のうが、その戦法は可能だということでしょう。
それに対して、自然法の考えを取り入れれば、いくら戦術として成立しようと、自軍の兵士の生命を考えれば、特攻隊は絶対に成立しない戦法でした。
この作品について作者の城山三郎は、「書くべきことはすべて書いた。これが私の最後の作品となっても悔いはない」と記しているように、本作品は、著者畢生の作品へと昇華されたのです。
(更新日:2009.09.03)