町田市議会議員 会派「自由 民主」/(社)落語協会 真打 三遊亭らん丈
〒194-0013
東京都町田市原町田
4-10-19-101(事務所)
【tel】 042-732-2004
【fax】 042-732-2005
HPからのお問合せ
1996年に真打に昇進した直後から、それまで自らを律し戒めていたことのいくつかを解き放ちました。たとえば、大学卒業以来遠ざかっていたカトリック教会へと再び通い始め、明くる1997年の復活祭には洗礼を受けましたし、ほぼ時を同じくして以前から興味があった俳句の創作を始めました。
創作とはいささか大げさな物言いですが、それには訳がありまして、ぼくに何よりも欠落しているのは、詩心です。ですから、俳句を読んでも、その良さが分かるのはごく僅かでして、じっさいのところ名句を前にしても、この句のいったいどこがそんなに好いのだろうと、じつにしばしば悩むことになるのです。
鑑賞には不向きだと覚ったぼくは、一転、俳句らしきものをでっち上げることならばできるのではないかと、今から思えば不遜なる錯覚を犯し、俳句を学ぶために句会へと生まれて初めて参加したのでした。
宗匠は立教大文学部の先輩、須川洋子先生です。先生は巷間云われるところの人間探求派の一翼を担う、加藤楸邨門下らしく、人生万般にポジティヴな句風を旨とする方でして、それが何事につけネガティヴな俳風を好むぼくにはうまく作用したようで、どうやら未だに破門されることもなく、続いております。
その須川宗匠主宰の『季刊芙蓉』に掲載された句を以下に転載します。原則として1号あたり8句前後掲句されます。★の句は、須川宗匠特選句です。
最後に、お断りしておかなければいけないのが表記です。ごらんの通り、句が横書きになっています。これは、現在のパソコン環境ではいかんともしがたい大いなる問題ですが、その壁をらん丈は乗り越えることが出来ず、不本意ながらこのような体裁で掲句してしまうことを、多くの俳句ファンに頭を深く垂れてお詫び申し上げるのです。
| 俳句の師匠、須川洋子先生逝く |
須川洋子主宰の俳句誌『季刊芙蓉』第91号に、200字以内の規定により寄稿したものを転載いたしました。 なお、須川洋子先生は、立教大学文学部の先輩にあたり、「寒雷」同人、塚本邦雄創刊歌誌「玲瓏」同人、現代俳句協会会員でしたが、2011年10月に永眠されました。 「真打に昇進した平成八年、自らへの封印をいくつかを解きましたが、その一つに作句がありました。 さて、師匠はどうしようかと考えたとき、偶々手にとった立教大学校友会報に後の先生となる人の名を見つけ、立教レディス句会に参加させて頂くこととなったのでした。 須川先生の師匠、加藤楸邨が「人間探求派」の一角を占めていたことを知り、須川先生の特長である向日性の所以を理解したのです。」 |
|---|---|
| 『季刊芙蓉』第90号・2011年冬 |
夏の陽が暮れて酒呑む物捨てて 見舞後に二人で氷水を飲む 新蕎麦や夫婦喧嘩も一休み(★) 引つ越しの手伝ひ終へて小鳥来る 捨案山子片足上げる犬がゐて 妻にサマーケツトを掛けて酒を呑む 目脂取り一日始まる秋初め 置く場所を変へて物失せ秋の闇 |
| 『季刊芙蓉』第89号・2011年秋 |
冬の富士見てもおしやべり止めない子 苺をつまみに独酌を重ねる夜 柳にねぶられるほどの強き風 桜見て人を見てまた桜見る(★) 片方の靴下探すうちに梅雨入 谷保駅で蚊に喰われつつ電車待つ 残酷なほど似てる親子に芒種 |
| 『季刊芙蓉』第88号・2011年夏 |
ひとりでもみかんは旨しふたりでも(★) 新旧の手帳を携行師走人 釘付となる元日の訃報欄 受験票確かめ確かめ道急ぐ どんど焼おき火でなほも手をかざし 門灯で暖をとる猫遅き春 梅の花振り返り見てバスに乗る |
| 『季刊芙蓉』第87号・2011年春 |
雨降れと祈る子のゐる運動会 だれよりも栗似合ふのはおばあちやん 衣被つい口すぼめ迎へをり(★) 小鳥来る夫婦喧嘩の真つ最中 会議中油虫横切りて行く(★) 小春日に妻と縞馬見に行けり 短日や論文仕上げ空仰ぐ 味噌汁のだいこ大事と噛みしむる |
| 『季刊芙蓉』第86号・2010年冬 |
いつの間に砂糖加へず飲む麦茶 ゆうやけをいつまでも見る犬と子と 字余りたる人生また立秋を迎ふ ぶだうの実と同じ大きさの鼻の穴 秋は突如敢然としてやつてくる 何にでも触る子がゐて夏終る 庭に出て妻と一緒に月を見詰む 黙祷の時間の重し原爆忌(★) |
| 『季刊芙蓉』第85号・2010年秋 |
傘を閉じまた傘開く梅雨の入り(★) ジェットコースターを日がな見詰めて梅雨長し 泳ぐでもないイルカ撫で半夏生 冷奴の旨さ分らぬまま五十路 病院で興味なきテレビ見て梅雨入 選挙カーに手を振る子ども半夏雨 中元の品定めかねコーヒー飲む |
| 『季刊芙蓉』第84号・2010年夏 |
寝入る度箱根駅伝順位変わる ガタつく机に紙をかう春昼 蕾なれど人集まりて花見かな 本会議野次浴びてウグイスとなる 鷲鼻も低い鼻でも穴二つ 一人酒好ましくなる知命の春 浮気せぬまま中年となり春霖 暇つぶしに献血をして四月馬鹿(★) |
| 『季刊芙蓉』第83号・2010年春 |
この秋にふと思う今わの際(★) 妻の握った新米の結び征伐す 茶の花忌迫る山間に日が落つ 永遠と一瞬が交差する秋彼岸 残業し各駅停車で帰る聖夜 妻と縫いぐるみと「川」で寝る聖夜 恩師の訃報新聞切り抜く冬至 耳毛も伸びる五十路の冬将軍 |
| 『季刊芙蓉』第82号・2009年冬 |
立ち喰ひそば屋で恩師と遭ふ迢空忌 外人がやがて加はる盆踊り 秋の蚊を打つて目覚める夜の列車 鰯雲電話の音の鳴り止まず 秋冷や三人寄れば自慢ばなし 新聞を読む梨の汁滴らせ(★) 大学の図書館出でて秋惜しむ 答案の書けぬ夢また冬近し |