町田市議会議員 会派「自由民主党」/(一社)落語協会 真打 三遊亭らん丈【公式ウェブサイト】

三遊亭 らん丈

らん丈の、我ら落語家群像 記事一覧らん丈の、我ら落語家群像

 古くは大師匠の三遊亭圓生や林家彦六師匠、柳家小さん師匠を始め、多くの落語家がお世話になっている「民俗芸能を守る会」が毎月『民族芸能』という機関誌を発行しておりまして、そこに1200字(400字詰め原稿用紙3枚)の原稿を1995年4月から毎月連載しており、2002年8月で89回になりました。
 始めは、ワープロでその原稿を書いていましたが、一太郎を経て現在はWordを使って書いています。そのWordで書いたものをここに掲載します。
 落語家をめぐるごく他愛のないエッセイですから、ホッと一息吐きたいときには格好の読み物と自讃しましょうか。
 2002年9月6日三遊亭らん丈記

「民族芸能」vol.118

2005.01.01(土)

 ぼくは未だかつて株には一切手を出したことはありませんし、蕪ならば兎も角、株にはなんの興味も関心もありませんが、各種の統計データから証券市場を分析することをクオンツということは、知っています。

 そのアナリストとして吉野貴晶さんの評価が高まっており、『サザエさんと株価の関係』(新潮新書)という好著もあります。

 それによると、テレビ番組『サザエさん』の視聴率が下がると、株価が上がる、犬のニュースが増えると株価が上がる、年末の宝くじの売れ行きがよいと、その後、株価が下がる、といった具合に、一見株価とはなんの関係もなさそうな指標が株価と相関関係を持つ、という指摘はなかなか面白いものがあります。

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「民族芸能」vol.117

2004.12.01(水)

 上方の落語界は知りませんが、こと東京に限れば今でも、前座、二ツ目、真打のそれぞれの違いは、画然と分かたれています。

 つまり、真打になった落語家は、“師匠”と呼ばれるわけです。

 これは、落語家に限りまして、例えば、講談の真打は、“先生”ですし、色物さんも同じように、先生とお呼びします。

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「民族芸能」vol.116

2004.11.01(月)

 今年度、ぼくは文京学院大学生涯学習センターで、講義を勤める機会に恵まれました。

 生涯学習センターという名称からもお分かりの通り、この講座の受講生は、年齢は四十歳代以上の社会人の方々ばかりです。

 講義でぼくは、いくつかのアンケートを取ったところ、なるほどなぁと思うような、結果を得ることが出来ました。

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「民族芸能」vol.115

2004.10.01(金)

 今月は、五年に一度実施される国勢調査の月に当たります。

 都会を中心に核家族化が進んだ結果、アパートやマンションの住民が増えたためもあって、たしかに以前に較べれば、国勢調査員の方々のご苦労は、格段に増したことは容易に理解できます。ですから、報酬をもらってもそれでは低額すぎて割に合わないと、なかなか引き受け手がいないのが、近年指摘されている国勢調査の問題のようです。

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「民族芸能」vol.114

2004.09.01(水)

 デジタルデヴァイドという言葉を初めて聞いたのは、二〇〇〇年のことでした。

 言うまでもなく、デジタル=PC技術(の有無)で、日常生活における受益が、デヴァイド=分離されてしまうことを言います。

 たとえば、インターネットを利用することで我々は様々な便益を享受していますが、これを使えないと、一切その受益を得ることが出来ない、そのことを指して、デジタルデヴァイドというのです。

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「民族芸能」vol.113

2004.08.01(日)

 たしかに我々は高座では、着物を着ています。改めて言うまでも、ありません。

 けれど、普段でも着物を着ているのかとなると、そんな咄家は、正月を除けば、ごくごく僅かなのです。

 こんなことはわざわざ説明するまでもない、と思っていたのですが、世間様はそうはみていないことが多いので、敢えて記しました。

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「民族芸能」vol.112

2004.07.01(木)

 日本において春は、年度変わりの季節ということもあり、実に様々なことを想起させてくれます。

 そんなところから芭蕉は、春を彩る代表的な花である「桜」をモチーフにして”さまざまの事おもひ出す桜かな”と詠んだのでしょう。

 ぼくにとっての春は、「身体検査」です。

 その身体検査を、今年四年ぶりに受けました。検査項目は、視力、身長、体重、血圧測定、胸部X線撮影、尿検査、問診の七種類でした。

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「民族芸能」vol.111

2004.06.01(火)

 地元にある教育関係のNPOに登録しているせいか、このところ、学校、それも小学校で、落語を口演する機会が増えました。

 まして、NHK教育テレビで放送されている「にほんごであそぼ」で、『寿限無』がブレイクしたせいか、落語に興味をもつ児童が以前よりも確実に増えている、という事情もあります。

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「民族芸能」vol.110

2004.05.01(土)

 それは十一月下席、浅草演芸ホールでの出来事でした。

 寄席関係者以外はご存じないでしょうから、知っておいていただきたいのが、寄席の代演の仕組みです。落語協会の場合原則として、代演=出番変更は事務局にて対処します。つまり、寄席の出番を頂いても仕事が既に入っていて行けない日があれば、それを出演者は事務局に伝え、代演は事務局で立てるのです。

 その日いわゆるクイツキ、仲入り後の出番を終えてぼくは楽屋に残っていました。

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「民族芸能」vol.109

2004.04.01(木)

 いつまでも人気の衰えない小説家というものがいるもので、日本では近代以降に限っても夏目漱石、太宰治、最近では村上春樹に至るまで、じつにたくさんいますが、なかで江戸川乱歩は没してから四十年も経とうというのに、一種独特の光彩を放ち続けています。

 「幻影城」と聞くと、怪しいトキメキを抱く方が今でも少なからずいらっしゃると思いますが、探偵小説専門誌の名称であり、由来は池袋の江戸川乱歩邸敷地内にある書庫=土蔵がそのように呼ばれていたからだそうです。

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