町田市議会議員 会派「自由民主党」/(一社)落語協会 真打 三遊亭らん丈【公式ウェブサイト】

三遊亭 らん丈

「文教社会常任委員会」 行政視察2008年議員活動

2008.05.01(木)

行政視察報告書
文教社会常任委員会行政視察 平成20年4月22日(火)〜平成20年4月24日(木)
視察先及び調査事項
岡崎市 ・防災対策について
岩倉市 ・市民サービスについて
名古屋市 ・子ども行政について
米原市 ・子ども行政について

 視察所感
1、岡崎市「防災対策について
 愛知県岡崎市は、東海地方に位置するため、将来起こると予測される、東海地震の際には、予測震度が6弱以上であるため、平成14年には、東海地震の地震防災対策強化地域に指定されました。
 また、東南海地震でも、震度6弱以上が予測され、東南海・南海地震の地震防災対策推進地域にも指定されました。
 そのため、人的・物的被害を最小限にするため、地震防災対策には真摯に取り組んでおり、その一環として、詳細な情報を網羅した50ページからなる、『岡崎市防災マップ』を、平成18年に15万部発行しています。
 同書は、地震編と風水害編から構成されており、それに詳細なる防災マップもなかに併載されていることによって、市民には災害の際の心構えと相当程度の情報提供が行なわれています。

 また、同市の防災事業での大変優れた点として、岡崎市役所東庁舎7階に、消防指令センターが設置されていることが挙げられます。
 そこで、各種災害に対して迅速に対応できるように、最新鋭の高機能指令システムが配備されています。
 そこには、100インチの大型多目的液晶プロジェクターが設置されており、災害映像の表示が精細に視覚化されています。

 同庁舎1階には、市民窓口の隣接部に、防災展示コーナーが設置されており、防災への啓発に役立っています。

2、岩倉市「市民サービスについて」
 当該市では、平成13年に新しい窓口システムを導入しました。それは、総合窓口システムとよばれ、先進事例となっているために、それを今回の行政視察の対象としています。

 非常に面白いのは、この優れた事業形態を、当該市では市民にPRしていないことです。それは、役所のどの窓口で何を取り扱っているのか、職員でさえ明瞭に理解できていないのに、それを明確に市民が理解できるはずもなく、かえって誤解を招く元となってしまうため、敢えて市民には告知せず、単に窓口システムとのみ名付けているというのです。

 ワンストップサービスを町田市の新庁舎では採用する予定ですが、浜松市が取り組んでいるような、一箇所で完全に要件が済んでしまう、ワンストップサービスを町田市で導入しようとすると、職員には過重な負担を押し付けることになるのではないかと危惧させられました。
 なぜならば、本当の意味でのワンストップサービスを実現させるためには、相談に訪れた市民が一箇所の窓口ですべての要件を済ませるというのですから、担当窓口の職員は、住基・戸籍法、税関連法、健康保険関連福祉、介護関連、年金関連法、後期高齢者医療制度、障害者関連福祉、児童福祉、建築関連、消防関係等市が所管する事務すべてに通暁した職員でなければ勤まりませんが、それは、一人の職員には過重な負担になるのではないでしょうか。
 ですから、岩倉市では、ワンストップの形態を敢えて取らず、一項目ごとに別の窓口(隣接している)に行ってもらうようにしているのです。
 そのことによって、市民には、相談案件を一つずつ片付けたという達成感も抱いていただけるように、配慮したというのです。
 それは、岩倉市役所が窓口業務に対して持つ目標が、明確だったからできたことなのでしょう。

 その目標とは、下記のとおりです。
「窓口業務の中でも、機械化、単純化できる業務を1箇所の窓口に統合し、市民を待たせない迅速かつ正確な業務を行う総合窓口」
 その際、当該市で得に留意したのが、上にも記した職員の負担軽減と、担当課でも従来通りの業務を行うのですから、総合窓口に市民を回してしまう、新たなたらい回しの阻止です。

 また、申請書、届出書の出力が簡便で、申請者の記載は、署名のみ(戸籍謄本は、本籍地も記入)というのは、町田市も見習うべき案件だと、感心させられました。

3、名古屋市「子ども行政について」
 今回視察をしたのは、小学校での行政による放課後の居場所作り事業、トワイライトスクールという名称の放課後学級でした。
 これは、文部科学省が実施する「放課後子ども教室」のモデルとなった事業というだけあって、充実した事業であり、平成9年に2校で開設して以来、順次実施校を拡大し、平成19年度には全262校中227校が実施するまでに伸張し、今年度中には全校での実施を目指しています。

 これは、すでに厚生労働省によって進められた、放課後児童クラブ(学童保育)と対をなす事業であり、07年度から二つの事業を連携させる「放課後子どもプラン」が始まりましたが、それを先取りしたような事業とも見受けられました。
 この事業は、概念としては、子どもたちにとってのカルチャーセンターのようなものだということですが、すでに多くの識者が指摘するように、学童保育とは、補完関係にあるのか、それとも代替関係にあるのか、そこが不明確との印象が否めませんでした。

 ただ何れにしろ、この事業は、名古屋発のものであり、トワイライトスクールという名称自体が、名古屋市のオリジナルだそうです。
ではどうしてこの事業は起こされたのかといえば、現市長が選挙にあたって公約に掲げていた事業であり、したがって当選し、市長になったからには、是非ともやり遂げなければいけないものであるため、トップダウンで事業が展開されたという経緯も知らされました。

 なるほど、困難な事業はトップダウンでなければ進捗しない、との思いを強く抱かされました。

4、米原市「子ども行政について」
 視察内容は、「いぶき認定こども園」です。
 町田市でも、今年度から認定こども園が先ず1園開設されましたが、それは最初期では、幼稚園型でした。

 それに対して、「いぶき認定こども園」は、幼保連携型です。それは、地域の実情に応じて現有施設の拡充や統廃合をしつつ、幼稚園と保育所の施設の一体化を図ることにより、未就園の3歳児の受け入れや子どもの成長に必要な集団規模の適正化を図るという、米原市の、就学前の乳幼児の保育・教育の改善と充実に関する考えかたに沿ったものだからです。

 つまり、米原市で重視されたのは、少子対策であって、ある程度の集団規模を確保するために、幼保連携型の認定こども園がつくられたのです。
 ということは、逆に言えば、町田市のように、保育所への待機児童が少なくない現状では、そのまま同様の施設をつくることが喫緊の課題となるのかどうかは、尚、熟考を要すると考えた次第です。

 ただ、この認定こども園も、名古屋市のトワイライトスクールと同じように、市長による強い指導力のもとにつくられた、という経緯を知ると、それを支える市民の熱い要望を感じ取ることができました。