三遊亭 らん丈

　鈴木宗男代議士への阿諛追従ぶりからも、いまや外務省は日本の恥部と成り果てましたが、またまたやってくれました。つまり、外務省は日本の主権を侵されてもただ手を拱いているばかりで、なんらの手段を講じることもしない腑抜けであることを、あらためて全世界に知らしめる事件を起こしてしまったのです。

　ご存知のように、さる８日、中国瀋陽の日本総領事館で起きた北朝鮮の脱出住民５名による「駆け込み亡命」未遂事件です。

　中国の武装警察官が、日本の主権たる総領事館に侵入までして北朝鮮住民と見られる５人を拘束した事件を、日本の総領事館員はこともあろうに傍観し、なんの手出しもせず、中国の思うままにさせていた事実は、「情けない」の一語に尽きます。

　それにつけても日本の外交はいつから、これほどまでに情けない弱腰へと堕してしまったのでしょうか。だいたいが、北朝鮮のことを朝鮮民主主義人民共和国と、なぜ、日本のマスコミは但し書きを必ず添えるのでしょうか。ならばなぜ、英国にその正式名称、グレートブリテンおよび北部アイルランド連合王国との但し書きを添えないのでしょうか。北朝鮮と同じならず者国家＝rogue　statesリビアを、社会主義人民リビア・アラブ国とどの言論機関が呼んでいるというのでしょうか。まさに、日本外務省ほど右顧左眄ばかりで、なんら自主的な判断ができない組織も珍しい。有事法制成立の前に国会がやらなければならないことは、あまりにたくさんあるのです。