町田市議会議員 会派「自由民主党」/(一社)落語協会 真打 三遊亭らん丈【公式ウェブサイト】

三遊亭 らん丈

はるかぜ vol.14 2013年4月号市政報告『はるかぜ』

2013.04.01(月)

・市議会のしごと
・市長の施政方針

市議会のしごと

 本誌を常々ごらんになっていらっしゃる方にとっては、これから記すことはすでに本誌でふれたことがあるので重複してしまうこともありますが、なかにははじめて本誌を手に取る方もいらっしゃることでしょうから、あらためて、わたしが議員をつとめる市議会とは、どんな仕事をしているところなのかをここでもう一度、お知らせしたいと思います。

 どうして今さらこんなことを申し上げるのかといいますと、市議会議員を市長の子分ぐらいに思っている市民の方を散見したものですから、その誤解を解かなければならないと思ったからです。

(1)憲法にみる市議会

 日本は法治国家ですから、法律の大本である憲法にまずあたると、そこでは市議会のことがその93条に、次のように記されています。

93条 地方公共団体には、法律の定めるところにより、その議事機関として議会を設置する。
2 地方公共団体の長、その議会の議員及び法律の定めるその他の吏員は、その地方公共団体の住民が、直接これを選挙する。

 こうして、町田市のような地方公共団体では、市議会を設置することが憲法で定められていることがわかりました。これを、憲法92条とあわせて読めば、地方議会を諮問機関としたりすることは、「地方自治の本旨」に反することになるので、違憲となります。

 また、首長と議会の議員は、住民が直接選挙によって選ぶことが憲法によって定められていることから、日本の自治制度は、国(中央政府)とは異なり、二元代表制をとっていることがわかります。つまり、都道府県、市町村を問わず、議員と首長をともに有権者が直接選挙で選び、自治体の政治機関の役割を担わせているため、二元代表制というのです。この制度は、大統領も直接選挙で選ぶアメリカ型とも重なるため、大統領制とも呼ばれます。

 それに対して、中央政府は、国会議員だけを直接選挙で選び、その国会議員が内閣総理大臣を指名し、内閣総理大臣が執行機関としての内閣を組織するため、一元代表制と呼ばれ、これを通常は議院内閣制といいます。

 このように、町田市のような地方の場合、議会が住民の代表であるとともに、首長も住民の代表ですから、地方議会は、自治体機関の最高機関でもなければ、唯一の立法機関でもなく、議会は首長と協働し、あるいは対抗しながら、自治体の政策を形成する機関であるのです。

 こうして、議会が首長と協働し、対抗する機関という側面で考えれば、議会の役割の一つは自治体行政を有効にコントロールすることが求められます。また、住民の代表によって構成される機関という側面で考えれば、議員は住民の代表として地元の要求や期待を明らかにすることが求められます。

 問題は、地元の利益をどのように表明するかです。地元の要求を個別に行政に取り次ぐことも、その一つの有効な方法ではありますが、議員は地元の要求に関して公開の場で討論をおこなうことではじめて議員としての責任を果たすことになるという考え方もあります。そうして、各議員がそれぞれ地元の要求を表明することで、全体としての要望が明らかとなり、議会での討論を通じてそれらの要望にいかなる優先順位を付与すべきかも明らかになるはずです。

 要するに、地方議会の役割は、行政のコントロールと住民の様々な要求を明らかにすることにありますが、それらを公開の場での討論を通じておこなうことで、地方公共団体のかかえる諸課題に優先順位をつけることが、大きな責務とかんがえることができそうです。

(2-1)地方自治法

 憲法の次に、地方自治法をみてみましょう。地方自治法とは、地方自治に関する一般法、かつ地方自治の根幹を定めた基本法的、基幹法的性格を有する大法典だからです。

 その1条の2では、次のように記されています。

第1条の2  地方公共団体は、住民の福祉の増進を図ることを基本として、地域における行政を自主的かつ総合的に実施する役割を広く担うものとする。
2  国は、前項の規定の趣旨を達成するため、国においては国際社会における国家としての存立にかかわる事務、全国的に統一して定めることが望ましい国民の諸活動若しくは地方自治に関する基本的な準則に関する事務又は全国的な規模で若しくは全国的な視点に立つて行わなければならない施策及び事業の実施その他の国が本来果たすべき役割を重点的に担い、住民に身近な行政はできる限り地方公共団体にゆだねることを基本として、地方公共団体との間で適切に役割を分担するとともに、地方公共団体に関する制度の策定及び施策の実施に当たつて、地方公共団体の自主性及び自立性が十分に発揮されるようにしなければならない。

 これは、法律にしては長い条文としても有名な箇所ですが、制定された当時は地方自治に画期をなしたものとして注目を集めたものです。

 ここでは、国と地方公共団体では、役割を分担し、「(町田市のような)地方公共団体は、住民の福祉の増進を図ることを基本として、地域における行政を自主的かつ総合的に実施する役割を広く担う」ことが要請されています。(括弧内は、筆者)

 それに対して国は、「国際社会における国家としての存立にかかわる事務」を担い、「住民に身近な行政はできる限り地方公共団体にゆだねることを基本として」「地方公共団体の自主性及び自立性が十分に発揮されるようにしなければならない」と定めています。

 この条文は、昭和22年に地方自治法が制定された当時はなく、その後、改正された際にあらたにくわわったものだけに地方自治を重視したものとなっています。

 その地方自治の際には、法2条14項にあるように、「地方公共団体は、その事務を処理するに当つては、住民の福祉の増進に努めるとともに、最少の経費で最大の効果を挙げるようにしなければならない」のであり、法10条2項にあるように、「住民は、法律の定めるところにより、その属する普通地方公共団体の役務の提供をひとしく受ける権利を有し、その負担を分任する義務を負う」となっていることも留意されることです。

(2-2) 地方自治法第6章議会

 地方自治法の第6章では、議会について記されており、その第2節では96条1項に権限として、各号の条文があります。

96条  普通地方公共団体の議会は、次に掲げる事件を議決しなければならない。

  1. 条例を設け又は改廃すること。
  2. 予算を定めること。
  3. 決算を認定すること。
  4. 法律又はこれに基づく政令に規定するものを除くほか、地方税の賦課徴収又は分担金、使用料、加入金若しくは手数料の徴収に関すること。
  5. その種類及び金額について政令で定める基準に従い条例で定める契約を締結すること。
  6. 条例で定める場合を除くほか、財産を交換し、出資の目的とし、若しくは支払手段として使用し、又は適正な対価なくしてこれを譲渡し、若しくは貸し付けること。
  7. 不動産を信託すること。
  8. 前二号に定めるものを除くほか、その種類及び金額について政令で定める基準に従い条例で定める財産の取得又は処分をすること。
  9. 負担付きの寄附又は贈与を受けること。
  10. 法律若しくはこれに基づく政令又は条例に特別の定めがある場合を除くほか、権利を放棄すること。
  11. 条例で定める重要な公の施設につき条例で定める長期かつ独占的な利用をさせること。
  12. 普通地方公共団体がその当事者である審査請求その他の不服申立て、訴えの提起(省略)に係る行政事件訴訟法第十一条第一項 (省略)の規定による普通地方公共団体を被告とする訴訟(省略)、和解(省略)、あつせん、調停及び仲裁に関すること。
  13. 法律上その義務に属する損害賠償の額を定めること。
  14. 普通地方公共団体の区域内の公共的団体等の活動の総合調整に関すること。
  15. その他法律又はこれに基づく政令(これらに基づく条例を含む。)により議会の権限に属する事項

 以上の事項を議決することが、市議会の大きな役割なのです。


市長の施政方針

 第1回定例会となる3月議会において、市長は毎年本会議にて、翌年度の施政方針を述べます。当然ながら施政方針は、町田市のHPに掲載されていますので、ご興味のある方はごらんください。

 ここでは、そのうち重要と思われる点をいくつかご紹介いたしましょう。

1、「未来づくりプロジェクト」

  1. 「地域社会づくりを基本とするまちづくりプロジェクト」が実行段階へと移行します。ただし、他の地区と異なり町田地区には地域センターがないため、当分の間、町田市役所に地域の相談窓口を設置し、地域の課題に応えます。
  2. 「町田駅周辺の魅力を向上させるプロジェクト」であり、市街地整備の方向性の検討や中心市街地全体の整備構想の策定を行います。その際、懸案事項であったコンベンションホール(大規模な会議や見本市を開催できる設備を備えた施設)についても、基本的な調査を行い、整備に向けた検討に着手します。
  3. 「団地再生に向けたプロジェクト」では、木曽山崎団地をはじめ、団地周辺も含めた地域ごとの特性を検討する協議会を結成します。
  4. 「みどりを活用したまちづくりを推進するプロジェクト」では、薬師池西公園を部分開園します。
  5. 「基幹交通機能を強化するプロジェクト」では、「デジタル案内表示器」を町田バスセンターに設置し、本年2月には多摩都市モノレールの町田方面延伸に向けた協議会を結成しました。

2、2013年度の重要な取り組み

  1. 町田市にふさわしい政策や施策を打ち出すために「町田市未来づくり研究所」を創設し、将来の社会構造を見据えた対応力を形成します。
  2. 新たな資源循環型施設を2020年に稼働させるため、「熱回収施設等」は、町田リサイクル文化センター敷地内に整備する意向です。また、「資源ごみ処理施設」は、市内3箇所に分散化し、整備を図ります。

3、2013年度の主要な施策

  1. 「将来を担う人が育つまちをつくる」では、2014年1月に忠生地域に子どもセンターをオープンします。また、町田地区の子どもセンターも2016年度オープンを目指し、基本計画及び実施設計に着手します。
  2. 「安心して生活できるまちをつくる」では、「町田市暴力団排除条例」を上程し、本年5月の施行を目指しています。
  3. 「賑わいのあるまちをつくる」では、今年開催される国民体育大会を「スポーツ祭東京2013」とし、「おもてなし」の気持ちをもって、歓迎します。
  4. 「暮らしやすいまちをつくる」では、交通拠点として機能する駅前空間の整備や、幹線道路の整備等「誰もが移動しやすいまちづくり」を推進します。