町田市議会議員 会派「自由民主党」/(一社)落語協会 真打 三遊亭らん丈【公式ウェブサイト】

三遊亭 らん丈

はるかぜ vol.13 2012年10月号市政報告『はるかぜ』

2012.10.01(月)

・議会改革度
・民間企業と役所
・市役所は公の施設ではありません

議会改革度

 さる(2012年)7月17日に町田市役所は、森野の新庁舎が全面オープンしました。その3階に市議会議事堂が設けられています。旧庁舎の議事堂とくらべると、明るくオープンな雰囲気が醸し出されているように思われますので本会議の際には、是非傍聴にお越し下さい。都合がつかず、傍聴できない方は、インターネット中継もおこなっておりますので、そちらでご覧いただければ幸いです。

 その翌月の8月30日に、「町田市議会だより」臨時号が発行されました。そこでは、新庁舎の議事堂に関しまして、ボタン式の電子表決を取り入れることで、議員各自の表決の状況を一目瞭然たるものにしました、という記事とともに、町田市議会は日本経済新聞社が実施した「議会改革度調査」において都内ナンバー1との評価を受けました、という見出しが躍っていました。

 同様に、早稲田大学マニフェスト研究所による議会改革度調査2011ランキングにおいても、町田市議会は、全国20位で東京都の自治体議会では抜きん出た存在になっています。このように、町田市議会はいまに限らず、伝統的に議会改革に積極的に取り組んでいる議会としてお認めを頂いていることが各種調査によっても証明されているところです。ちなみに、同調査に回答した議会は全地方議会の75.8%にあたる1,356議会ですから、町田市議会は上位1.5%以内に入っていることになります。

 それを証明するように、町田市議会ではたびたび、議会改革調査特別委員会が設置されています。ぼくがその副委員長をつとめた同特別委員会では、常任委員会での請願の審査において、請願者は2名以内に限って、その請願の趣旨を5分間にわたって陳述でき、陳述後、委員からの質疑に応じることができる制度が創設されました。

 これは、日本国憲法16条を先進的に具現化した制度として、全国的にみても際立って市民に寄り添ったものであると自負しているものです。

 このように、町田市議会は市民に広く開かれた議会として、今まであり、そしてこれからもそうあり続けることを志向しています。

 その証左をもうひとつ挙げれば、今定例会からは、従前の本会議に加えて、常任委員会審査の模様もインターネット中継されることになっています。ぼくは現在、文教社会常任委員会の副委員長ですが、その審査の模様を傍聴できない方は、町田市議会のホームページにある、議会中継をクリックしていただければ、ライブ(生)中継と録画(ビデオ・オン・デマンド方式)の双方でご覧いただくことができますので、是非ご覧ください。


民間企業と役所

 議員になって早くも6年と半年が経ちました。議員になると、当然のことながら公務員の方々との接触が、今までにくらべると格段に増えました。すると、「これは、民間企業とは明らかに違うな」と思ったことが、いったいどれほどあったことでしょうか。それを以下に記してみたいと思います。

1、勤務条件法定主義

 民間企業も公務員も労働者でしたら、どちらも、法のもとにあるのです。それを労働基準法に当たると、「労働者」とは、「職業の種類を問わず、事業又は事務所(以下「事業」という。)に使用される者で、賃金を支払われる者をいう」としており、同法34条では、「使用者は、労働時間が六時間を超える場合においては少くとも四十五分、八時間を超える場合においては少くとも一時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない」と記しています。ところで、この条文は猫の手も借りたいほどに忙しい企業ではどれほど厳密に守られているでしょうか。同法56条では、「使用者は、児童が満十五歳に達した日以後の最初の三月三十一日が終了するまで、これを使用してはならない」とありますが、これでは、歌舞伎の子役は存在できません。35条では、「使用者は、労働者に対して、毎週少くとも一回の休日を与えなければならない」としていますが、この条文にしても、すべての民間企業がこれを遵守しているとは到底思えません。

 しかし、これらの法は、少なくない公務員については厳密に適用されています。ここが、民間とはかなり異なるところです。尤も、労働基準法が公務員で適用されなかったら、いったいどこが適用するんだという議論もありますが。

 これを、勤務条件法定主義というのですが、民間にはそもそもそのように考える土壌が弱いというのが実感です。

 公務員において法定主義というのは、勤務条件に限らず、その施策の策定の際に殊に強く働くようです。つまり、法律に規定されているからその仕事をやる、あるいは、法律に規定されていないからやらない、といったように。これは、憲法73条から当然のことなのですが、公務員は「法律の定める基準に従」わなければならないのであり、ここが、民間とはかなり異なるところです。

2、利益をあげなければならない民間企業

 民間企業は、利益をあげることが再重要視されます。利益があがらなければ、企業そのものが立ち行かなくなってしまうからです。ところが、公務員は利益をあげる、つまり歳出を上回る歳入を確保することに血眼になる、ということはありません。町田市のような地方自治体は、市税収入以外にも、国や都からの交付金や補助金があるので、それをあてにして、自ら歳入を増やす努力への誘因はあまり強くありません。一口でいえば、町田市をもうかる自治体にしようとは、ほとんどの職員は考えていないのです。かといって、野放図に市債という借金を増やせばいいとも思ってはいないでしょうが。

 もっとわかりやすくいえば、たとえば、自動車会社に勤務している社員は、1台でも多くのクルマを売ろうと努力しているのです。そうすれば、会社は儲かりますし、自分の給料も増えると期待するからです。

 では、何をもって公務員の方々は、自らが働く誘因としているのでしょうか。多くの場合、憲法15条2項の「すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない。」に求められるものと考えられます。つまり、みんなのために働く、ということです。

 ところが、民間企業でも、たとえば、ジョンソン・エンド・ジョンソンの「我が信条」では、大略次のような4項目が挙げられています。1、我々の第一の責任は、我々の製品およびサービスを使用してくれる医師、看護師、患者、そして母親、父親をはじめとする、すべての顧客に対するものであると確信する。2、我々の第二の責任は全社員 ―世界中で共に働く男性も女性も― に対するものである。3、我々の第三の責任は、我々が生活し、働いている地域社会、更には全世界の共同社会に対するものである。4、我々の第四の、そして最後の責任は、会社の株主に対するものである。

 日本でもたとえば、近江商人の「売り手良し、買い手良し、世間良し」の「三方良し」が有名です。

 これらは、いずれも企業の社会的責任(CSR)とよばれるもので、これをうたっている企業は多いのですから、企業も役所同様に、ただ儲けるだけではなく全体の奉仕者たらんとしているのです。

 これをみると、企業と役所との明確な区別がつけにくくなった昨今です。

3、公共経営論

 町田市では、2006年に2007年度から2011年度までの中期経営計画を策定しました。現在は、2012年度からスタートした「まちだ未来づくりプラン」とその実行計画である「新5ヵ年計画」を実行しています。

 じつは、中期経営計画は、町田市でははじめて策定したもので、それ以前にはなかったものです。つまり、行政に「経営」という理念を持ち込むことは以前にはあまりなかったことだったのです。

 ところが、今や公共に経営は必須ということになり、大学の講義でも以前はほとんど見かけなかった「公共経営論」が開講されるようになったのです。

 こうみると、日本では民間と役所の垣根がどんどん低くなっている、特に、地方自治体では、地方自治法による指定管理者制度の導入もあり、それが一層促進しているといっていいのかなと思い、この流れは当分続くだろうというのが実感です。

 ただし、この場合の経営で大事なのは、「経営科学」と同時に「経営芸術」という視角もあわせてもつことでしょうが、これが難しい。


市役所は公の施設ではありません

 法律を学ぶと意外なことを知ります。たとえば、地方自治法では、その244条1項で次のように記しています。「普通地方公共団体は、住民の福祉を増進する目的をもつてその利用に供するための施設(これを公の施設という。)を設けるものとする。」この場合の公の施設には、学校、公園、道路、図書館、病院等が該当します。

 なお、公の施設の要件として、次の5点が指摘されています。

  1. 住民の利用に供するための施設であること。(非該当施設例)留置場
  2. 当該普通地方公共団体の住民の利用に供するための施設であること。(同)観光客向け公立ホテル
  3. 住民の福祉を増進する目的をもって住民の利用に供するための施設であること。(同)競馬場
  4. 普通地方公共団体が設ける物的施設であること。(同)産婆
  5. 普通地方公共団体が設ける施設であること。

 それでは、市役所は公の施設なのかといえば、否なのであります。

 そこで、町田地区には、町田市内の他地区のような地域センターが設置されていないので、是非とも早急に公の施設であるところの地域センターを設置していただきたいとの一般質問を行ったところ、副市長が「実現に向けて検討する」との答弁を、2012年9月での町田市議会本会議において頂きましたので、ここにご報告いたします。