町田市議会議員 会派「自由民主党」/(一社)落語協会 真打 三遊亭らん丈【公式ウェブサイト】

三遊亭 らん丈

らん丈落語道場 記事一覧らん丈落語道場

 『いどばたかいぎ』という生活密着情報紙が、町田市内で配布されています。それにらん丈は、2005年7月号から連載を始めました。タイトルは、「らん丈落語道場」です。
 このエッセイは、ごくごく気楽に書かせて頂き、一落語家から見た、由無し事の数々です。
 よかったら、安気にお付き合いくださいませ。

その十 『いどばたかいぎ』06年09月号

2006.09.01(金)

 九月とはいえ地球温暖化の影響か、厳しい残暑が続いており、すると自然と涼感を求めたくなるものです。
 寄席では、咄でお客様に涼しくなっていただこうと、夏場は怪談噺を聞いて頂くのが恒例となっております。
 この場合、怪談に出てくるのは、幽霊や化け物であって、決して「階段」ではないので、お間違えのないように。
 さて、その幽霊と化け物ですが、全く別物というのは御存じでしたでしょうか。
 つまり、幽霊も化け物も、生前は大抵の場合、女性です。相撲取りだった幽霊というのは、聞いたことがありません。
 その女性がこの世にいるときに、綺麗だった方の場合は、幽霊となり、そうでなかった方の場合は化け物となるのであって、まるで違うのです。
 もちろんその際、幽霊となるか化け物となるかは、自己申告ではありませんので、検査係でもいるのでしょう。結構賄賂が横行しているのではないかしら。

その九 『いどばたかいぎ』06年08月号

2006.08.01(火)

 福岡ソフトバンクホークスの王監督が、胃の全摘出手術を終えられた、との報道を見るにつけ、一日でも早い御快癒をお祈りしないではいられません。
 ぼくは一度だけ、王さんにお会いしたことがあるので、よく知っているのですが、あれほどの鋭い眼光の持ち主を、ほかに知りません。
 王さんにお会いしたのは、十七、八年前になるでしょうか。日本でも有数の旅館のショータイムで落語を終えた後に、大事な人が来ているから、是非、お座敷に伺うように、との仰せをいただき、いそいそとそのお座敷に伺うと、そこにいたのが、「世界の」王さんだったのでした。
 こちらは恐縮してしまい、座を持たせるどころか、夢見心地で、さて、どんなことを話したのかサッパリ覚えていません。
 ただ意外なことに、上背はそれほど高いわけではないことと、普段はニコニコしているのに、一旦何かあると、その視線に凄みが宿ることに気づかされ、一芸に秀でた方のオーラを存分に味わわせていただきました。

その八 『いどばたかいぎ』06年07月号

2006.07.01(土)

 ぼくは現在、早稲田大学の四年生でもあり、三度目の学生生活を送っているのですが、まさか、ぼくが大学で教鞭を執ることになるとは思ってもいませんでした。
 関西大学の客員教授を勤めた桂三枝師匠や、桂文珍師匠が有名ですが、それ以外でも、実に多くの大学で、落語家をゲスト講師に呼んでいます。
 ぼくにしたところで、昨年は母校立教大学で、二度ほど話す機会を頂きましたし、それ以外でも東京農工大学や、つい先日は、桜美林大学でもゲストスピーカーを勤めました。
 これは、大学の特色作りの一つなのかもしれませんが、我々にとっては、若い方々に落語を告知できる良い機会なので、喜んで伺います。
 すると、実に新鮮は疑問に出くわすことになります。先日は、どうして落語をやるときは着物を着ているんですか、と訊かれ、仰天してしまいました。いまの若い人にとってはいたし方のない疑問なのでしょうか。たしかに、普通の学校ではそんなことは教えてくれませんから。

その七 『いどばたかいぎ』06年06月号

2006.06.01(木)

 今年の一月号以来ですから、だいぶご無沙汰してしまいましたが、その間に執行された選挙において、御蔭様で町田市議会に議席を得ることが出来ました。
 公職選挙法上紙面でのお礼の言葉は控えさせていただきますが、市議会に実際に参加し、実感を持って読者の皆様に申し上げたいのは、市議会ないしは、常任委員会での傍聴はいかがでしょうか、ということです。
 たしかに、町田市議会はインターネットでも見ることは出来ますが、実際に見ると、それは全く違ったもののように見えるはずです。
 「そんなことはない」、とおっしゃる方がいらっしゃいましたら、それは、たぶんどちらか一方でしか見たことがないからだと、思います。特にお奨めなのが、常任委員会での質疑応答です。これこそ、議員と執行者との真剣勝負の様相をすぐ間近で見られるのですから、是非ごらん頂きたいものです。もちろん予約はいりません。日程は町田市議会のHPでご確認ください。

その六 『いどばたかいぎ』06年01月号

2006.01.01(日)

 明けまして、おめでとうございます。今年は、三遊亭らん丈がなにかとお騒がせすることになるかと存じますが、何卒よろしくお願い申し上げます。
 年々日本から正月らしさが減っているよう気がします。ほんの十年前と較べてもそれは明らかでして、最近は元日から営業しているデパートもあるほどなのですから、歳末大売出しも年明け大売出しもないもんだと、思いますが。
 そこへいくと落語家は優等生でして、一月三十一日まで正月、という大らかさがあります。ところが、われわれ真打の落語家にとってこれは、困ったことでして、三十一日までに会った前座さんと三味線のお囃子さんにはもれなくお年玉を差し上げなければいけないのです。ですから、真打にとっては、正月はなるべくならば少ないほうが好いのですが、こればっかりは変えられず、落語家のあまりに長―い正月を恨めしく思ったりしています。

その五 『いどばたかいぎ』05年11月号

2005.11.01(火)

 人気商売において、マスコミの影響力は実に大きく、このところNHKなどで落語の特集をしばしば組んでくださるせいか、とみに小学校で落語公演を行う機会が増えています。
 というのも、ぼくはNPO法人「さがみはら教育応援団」(電話042―853―8844)の会員でして、そこからの依頼で、小学校や地域センターで落語公演を開くことが増えているからです。十一月五日も、相模原の小学校で公演をいたします。
 小学生の言語習得能力は実に旺盛でして、公演の際、『寿限無』の名前を全部言える人はいますかと訊くと、なんと半分近くの児童がいつも手を挙げるのです。手を挙げた児童の何人かを実際に壇上に上げて言わせてみると、実に流暢に『寿限無』をすらすらと言い立てるので、未来の落語名人を見る思いがします。
 先日、ある中学校で落語公演の際、校長先生がじきじきに我々をご紹介くださったのですが、その際、「学校寄席」を「がっこうよせき」と仰ったのには驚いた。

その四 『いどばたかいぎ』05年10月号

2005.10.01(土)

 町田の中心市街地、東急まちだ店裏のビルに、まちだ中央公民館があります。
 そこでは、地域市民講座といって、市民が主体となって企画・運営し、地域の課題を考える講座があります。
 らん丈は、二〇〇三年度から今年度まで三年続けて地域市民講座を、企画・運営しています。一昨年は、「どうにかならないか米軍機騒音」、昨年は「犯罪都市『町田』の汚名返上を目指して」、そして今年は、「中心市街地原町田地区の『アメニティーズ(環境快適)』を目指して」という講座を、十月二六日から十二月七日まで町田市民フォーラムにて、開催します。
 もちろん参加費は無料ですので、御興味のある方は、是非、ご参加下さい。
 本来であれば、市民講座で落語教室を開いていただければ、喜んで講師を勤めさせていただくのですが、世知辛い世の中となり、なかなか「落語」では、お呼びがかかりません。

その三 『いどばたかいぎ』05年9月号

2005.09.01(木)

 電通の消費者研究センターがまとめた、今年上半期の話題・注目商品の一位は、「ブログ」でした。
 ご存じない方のために説明しますと、「ブログ」とはインターネット上の簡易型ホームページ、とでもいえばいいのでしょうか。ホームページを持っている咄家は珍しくもなんともありませんが、ブログとなるとまだ稀少価値です。
 先日楽屋でブログのことを話題にしたら、「付録なんてみっともねぇ。真打なら、本編になんな」と先輩に、諭されてしまいました。
そのブログを、私も始めてしまったのです。
ブログは日記形式なので、始めたら最後、辞めるまで毎日更新しないといけない、という空恐ろしいものですが、乗りかかった舟なもんですから、致し方なく、今のところはなんとか毎日、更新しています。
 アドレス→https://ranjo.hatenablog.jp/ご興味のある方は、是非覗いてみてください。

その二 『いどばたかいぎ』05年8月号

2005.08.01(月)

 近い将来、上方落語協会に寄席が出来るそうです。それに伴って、身分制度を復活させる、つまり、前座から始まって真打へと至る落語家の階梯を東京のように確立させる、と会長の桂三枝師匠がおっしゃっていました。
 そうです。東京は、見習いから始まり真打へと昇進するのですが、その度に出世魚のように、多くの場合芸名を変えるのです。
 ぼくの場合でいえば、前座の名前は師匠が三遊亭円丈なので、師匠の一字を頂いて、三遊亭丈々寺。我ながらかなり変わっている名前だと、思います。二ツ目に昇進し、三遊亭乱丈へと、改名しました。いよいよ真打へと昇進するに当たって名前のことが、問題となりました。芸名に「乱」は拙いというのです。
 我が意を得たり、と思ったものです。それにつけても、そんな名前を誰がつけたのかと、師匠は言うのですが、師匠、貴方がつけたのです、と私は声を大にして言いたかった。

その一 『いどばたかいぎ』05年7月号

2005.07.01(金)

 落語家の卵=見習いになって最初に、師匠から教わることは、なんだと思いますか。
 ぼくは入門する以前は、いきなり落語一席は教えてもらえないだろうけれど、小噺のひとつぐらいは教えてくれるのではないかと、勝手に当て推量をしていましたが、見事に裏切られました。
 厳密に言えば、それぞれの師匠によって違いはあるのでしょうが、大方の場合は、先ず着物の着付けと畳み方を教わるものです。
 なーんだと思われるでしょうが、これが結構難しいのです。着物はまだ簡単なのですが、難しいのが袴の畳み方です。それも、楽屋にはいるとよく分かりますが、畳半畳に満たない狭隘なスペースで、時間に急かされながら即座に畳むのは、これはこれで慣れるまで結構大変なのです。そのとき不用意に口を開けたまま畳むと、唾がタラーッと糸を引いて落ちることがあって、口は閉じるのが基本です。

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